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zoom RSS インカの結び目/文字のないインカだけど、実は文字以上に優れたシステムだったのでは

<<   作成日時 : 2016/12/17 00:10   >>

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文字があることが文明の条件、と言われていた時代も今は昔。
文字が無かったとしても、同等の高度なアーキテクチャを生み出してシステマチックにシステム運用していた社会は、幾つかある。その代表例がインカだ。(ちょっと横文字を使ってみたかっただけ)

文字に代わって使われたインカの「文字」といえば、キープである。

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これは色とりどりの紐に意味をもたせ、そこに作った結び目で数を計算する仕組みである。
「数字を作らなかったのだから遅れている」と思ってはいけない。事実この仕組みで、インカは広大な帝国を上手に支配した。そしてキープには、「文字を書く」というシステムにはない幾つもの大きな利点があった。

最大の利点は、なんといっても

 ・持ち運びしやすい
 ・耐久性が高い
 ・材料が安価で作りやすい


これ。


インカの「キープ」は、領地の隅々まで延ばされたインカ道を飛脚が持って移動し、首都に情報を伝えるためのものだ。なので、耐久性、重量はもちろん、帝国のどこででも作れなくてはならなかった。よく考えてみると、実はこのシステム、インカが必要としたすべての条件をクリアするすごい発明なのだ。


文字というシステムについて考えてみよう。
文字を記録するには、中国やエジプトのように紙をつくるか、メソポタミアのように粘土板に跡をつけるか、北欧やケルトのように木切れや石を刻むかしなければならない。しかしどの方法も、持ち運び、耐久性、材料のいずれかまたは全てに問題がある。

たとえばパピルスの巻物は、水に濡れるとアウトである。衝撃に弱く、バラバラになりやすい欠点もある。紐に結び目を作って記録する「キープ」なら、水に濡れても何百キロも飛脚が持って走っても、壊れない。

粘土板は重たい。焼きを入れれば丈夫にはなるが落っことすと壊れる。「キープ」なら紐なので軽いし落っことしても平気。

木材も石も刻むのに手間がかかり、しかも修正できないが、「キープ」なら簡単に作れて間違いも修正できる。

古代中国の紙や絹も作れる場所・施設の制約があるが、「キープ」は家畜の毛で作った紐なので、特別な施設は必要なく、村人でも簡単に作ることが出来る。


でも紐の結び目じゃあ記録できる内容って限られるよね? と思うかもしれない。
しかしメソポタミアの例を見てみると、そもそもの文字の始まりというのは、「商取引の証拠を残したい」とか「家畜の数を覚えておけないので何か記録したい」とかなんである。つまり品目と数を形にして残すのが、そもそも「文字」が求められた発端なのだ。

参考: 「文字のシルクロード」講演会へ行ってきた。 PART.1 メソポタミア・エジプト編
http://55096962.at.webry.info/201605/article_23.html


「キープ」はまさにその要件を満たした、品目と数量を記録・伝達することに特化したシステムである。書き文字とは別の方法で、書き文字が最初に目指した要件を満たせたのだ。この方法を最初に思いついた人はスゴイと思う。ただの結び目と思うなかれ、これがあったからこそインカは、帝国として繁栄することが出来たといっても過言ではない。

インカの結び目は、「持ち運び」+「情報伝達のスピード」を考慮に入れるならば、物量や税、財産などの管理という面において、ある意味、文字よりも優れたシステムだと言えるかもしれない。


*****
参考:中の人がペルーのインカ道を実地体験しに行った時の写真

これでイメージつきますでしょうか…インカのチャスキ(飛脚)さんは、こういう道を伝令として走らなきゃならないんです…周囲はジャングル(雨季は雨量多し)です…。そりゃ紙とか木簡とか石板とか運べねぇよな、家畜も使えないし人が背負って走るしかないよな、って、すんごく良く判りました。(あと、たまに観光客が滑落して死んでる理由もね!!!!)

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