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zoom RSS 文字と記号の区別もついてないし、ちょっとコレ・・・「人類は、一体いつから文字を使い始めたのか」

<<   作成日時 : 2016/11/15 00:10   >>

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東洋経済の記事は違和感のある内容を平気で出してくるので、中の人は人文系が不得意なんじゃないかと心配になる。今日は以下の記事にダメだしをしてみたい、


人類は、一体いつから文字を使い始めたのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161110-00143889-toyo-soci&p=1

人文系の文章っぽく見えて実は日記帳の裏である。ツッコみどころ満載だ。

画像





この記事を読む前に思い出してほしいのは、以前書いた以下の内容だ。

「記号」と「文字」の違いとは。"古代人は絵文字を使っていた?"というニュースの"?"の意味
http://55096962.at.webry.info/201606/article_11.html

 「ただの叫びは言語ではない」。

たとえば、感情の吐露を表現するために○を一杯描いたとしても、それは文字ではない。将来文字になりうるものでもない。壁画の中に毎回同じ記号が描かれていたとして、その記号が表すものが一意な、毎回同じものであるならば文字の原型と呼ぶことは出来る。しかし、ただ「同じ記号が描かれている」だけでは文字ではない。


と、いうことを理解して以下を読むと、"記号が文字であることを証明できていない"ということに気がつくはずだ。
証明のための、必要最低限の条件を満たせていないのである。

"そこから彼女が導き出したのは氷河期の3万年という期間に、ヨーロッパ全体で幾何学記号がわずか32種類しか使われていなかったということ。「32種類に絞られたのは、この記号がコミュニケーションツールとして使われていたから」で文字の萌芽がこの時代にあったと彼女は推測しています。"


そもそも、×や○みたいな単純な形は誰でも思いつくし、単なる装飾として、また気に入った形として繰り返し描くこともありうる。何しろチンパンジーだってクレヨンを与えればお気に入りの色や形を繰り返し描くくらいなのだ。同じ形が何度も出てくることと、それが文字であるかどうかは全く別の話だ。

というわけで、2ページ目以降は文字数の無駄使いな内容である。



そして、そもそも最初の導入部分の前フリからして謎チョイスである。ここ。

"世界で最も古い文字と言われるエジプトのヒエログリフ、メソポタミアの楔形文字、中国の甲骨文字。"


"これらは5000年前〜3000年前には存在したと言われている"と、なぜか2000年もの幅を取って無理やり甲骨文字を入れておきながら、最近発見されたという甲骨文字より古い文字が発見されたとかいうニュースを考慮していない・・・ たぶん甲骨文字は殷の王朝から使われ出した前提でこの記事を書いてるんじゃないかな・・・ (なお殷は、実在したとは考えられているが、いわゆる「殷墟」については、最近では殷王朝のものではないのではないかと考えられている。「殷の別名が商」とか言い出してる人がいたら、たぶん殷墟と殷がごっちゃになってる。)

もし、「世界最古の文字」という意味で書くのなら、ここは楔形文字でなくてはならなかったし、他からの影響を受けずに独自に一次発生した文字という意味で書くのなら、アメリカ大陸で発生した絵文字も入れなくてはならない。なんでこの3つを選んだのか基準が全く不明。自分の知ってるやつだけ書いた系か。

にしても、ヒエログリフは、それより先にヒエラティックのほうが作られているし、楔形文字より少し後の時代になる。そして両者とも原型となる絵文字が発達して、そこから「楔形文字」や「ヒエラティック/ヒエログリフ」になっているので、甲骨文字に対応するのは「原楔形文字」や「原エジプト文字」で、楔形文字やヒエログリフに対応させるなら「漢字」としなくてはいけないと思う。



ちなみに、途中に出てくる「カナダ人の女性人類学者ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー」の本は、最近本屋さんで平積みにされいているのを見かけた。コレだ。

最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く
文藝春秋
ジェネビーブ ボン・ペッツィンガー

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ただ、ぱらっと見てみた限り、「xxの記号は○○を表しているに違いない」という推論を繰り返す、今までにもあったパターンの「証拠はないけど思い込んでみる」系の本であった。ていうか、証拠なんて出てくるわけないから、そうならざるを得ないんである。壁に描かれている記号が何を意味していて、何のために描いたものなのか、数万年前の人類が開いてでは当人にだって上手く説明出来ないだろうし、たとえタイムスリップしたところで分からないだろう。

データベースを使ったから何か真新しい視点が出てくる、などということはありえない。なぜなら(自分でデータベースを作ったことある人なら判るだろうが)、データベースとは 検索者が知ろうとした情報しか出てこないモノ だからである。

データベース構築時に、まず投入するデータが選定される。データベースの中に入っているのは登録されたデータのみ。すなわち、観点にない項目は登録されていない。
そして、検索条件を設定するのは検索する人。条件に設定されていない内容は出てこない。逆に言えば、検索条件を変えて色々検索しまくれば、意味のありそうな内容が必ず何かは出てくるのがデータベース。出てきたものに本当に意味があるのか、どんな意味なのかを考えるのは受け手側の問題。
そこにあんまり夢を見てはいけない。



というわけで、前提も考え方もツッコミどころしかなくて納得出来ない文章だった。
本職の人ならもうちょっとどうにかならなかったのかなあ・・・。


******

<オマケの追記 文字と記号のわかりやすい例>

 ♀ ←女性を意味する
 ♂ ←男性を意味する

…というのは記号です。
文字じゃないです。

あるマークが一意の意味を持っていたとしても、それは、マークが「意味をもつ"記号"」である証明になるだけで、文字である証明にはなっていません。
記号はいくらあっても、文章は作れません。言葉にならないんです。

♀ => □

で、"女性が家に帰る"という意味になるのであれば、♀は記号ではなく文字になります。
なので絵文字であってもトンパ文字は「文字」だし、言葉かどうか判別がつかない岩絵は、一意の意味があるとしても「記号」になります…。

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