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zoom RSS 猫の飼育の歴史を巡る議論/ヴァイキングは猫と航海をしたか?

<<   作成日時 : 2016/09/28 00:10   >>

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元論文はネイチャーに掲載のこれ。

How cats conquered the world (and a few Viking ships)
http://www.nature.com/news/how-cats-conquered-the-world-and-a-few-viking-ships-1.20643

エジプトの猫のミイラからのDNA採取に挑んだと書かれていたので、ほほう、と釣られたのだが、…いや待って。なんかヴァイキングが猫と旅したことになってますけど。いや待って。いつからヴァイキング・シップに猫が乗った?? まずDNAの比較うんぬん以前に、ヴァイキングのサイトから猫が出たならそっちのほうが自分的に大ニュースなんですけど。

というわけで適当に内容をサマります。

・比較したのはミトコンドリアDNA(核DNAではない模様)
・ヨーロッパ近辺のサイトを比較していてアジアは入っていない
・15,000年くらい前に中東とエジプトの間くらいで飼いならされたのがスタート、という既存説は踏襲した上で、そこから中近東に拡散するルートと、海上を運ばれたルートの二通りがあっただろう、とする説を結論としている

その海上のルートの根拠になっているのが北ドイツの8-11世紀の遺跡、とのことなのだけれど、すべての記事の元ソースがこのネイチャーの記事に紐付けられていて、この記事に出てこない遺跡名が分からない。あれこれ調べてたところ、どうもヘーゼビューのことのようなのだが…ここで問題が…


ヘーゼビューはヴァイキング時代の国際交易都市です

 ◎ヴァイキング時代の遺跡
 ○ヴァイキングが利用した町の遺跡
 △ヴァイキングの遺跡 ←時代/民族的には正しいが、リンディスファーン襲撃してた頃のような出城的なものではない

微妙なニュアンスの差なのだが、分かりやすく言うと「おそらくスウェーデンから移住してきたと思われるヴァイキングがデンマークのヴァイキングから奪った土地に築いた城砦都市」で、ヴァイキング行のための中継港の一つ。職人地区から青銅や金細工が見つかっていたり、周辺地域のあらゆる交易品が出てきたりしているといえば、イメージつくと思うんだ。そう、ここ、ふつーの中世の都市です…

ヴァイキングが略奪だけしてたわけじゃなく、交易で稼ぐ武装商人でもあったことは既知の通りで、ヘーゼビューは「大交易センター」と呼ばれることもある。

というわけで、ヘーゼビューに猫がいるのは、当時のヨーロッパに既に猫が広まりつつあったなら、むしろ当たり前(珍しい商品としても)
ただ、商品として船に乗せた可能性はあっても、意図的にネズミとるために乗せたかどうかわかんないよね。結論部分おかしくね! って話。

 ○ヴァイキング時代の都市に猫がいた
 ○ヴァイキングが船で運んだ可能性がある
 △ヴァイキングとともに航海した
 ×ネズミを取らせるために飼っていた ←これは証拠がない

一緒に航海したかどうかも、この論文の調査からだけだと不明だ。
ヴァイキングが利用してた中継港から出てきたものが全て海路で運ばれてたかっていうのも微妙なところで、近辺から陸路で搬入される商品もあったはずなんだよね。食料とか日用品とか。遺跡から猫が出てるだけなら、陸路で持ち込まれた可能性もある。なので ヴァイキングの都市から出た→猫がヴァイキング・シップに乗ってた! まで想像するのは、ちょっとイメージ先行で不正確になっちゃうな。


******

何でこうヴァイキングの猫飼育に厳しいかというと、北欧では気候的に猫は野生で生きられないからなのです。
猫がいたとすれば全部飼い猫になる。でもってネズミがそんなに沢山いるわけでもないので人間がエサをやらないといけない。だけど、愛玩動物を飼うような余裕は、北の大地だと難しい。そもそも穀物を育てるのに向かない気候だから酪農とかやってたわけだし。

ドイツ北部〜デンマークあたりの気候ならスカンジナヴィアより多少温暖だとは思うけど、北にいくほど猫を飼うメリットは薄くなるんで、簡単に「出てきたから飼育してたはず」とは言えないと思うんですよ。

もっとも、これはほかの遺跡でも同じだったりする。
遺跡から出てきた=広く飼育されてた ではない、という話は前にもたぶんどっかに書いたとおり。たとえば古代エジプトでの猫飼育の証拠は、「異なる年齢のオスメス両方の猫が連続した時代に渡って存在していた」なんですよ。それなら飼育して繁殖させてたんだろうとほぼ確実に言える。単品で出てきただけでは、果たしてそこで飼育されてたかは分からないわけで。

いわんや、飼育の目的をや。


たぶんこれ、話題先行で研究資金頂戴ってことなんでしょうけどね。ヴァイキングっつーとヨーロッパの人たち釣られやすいですし。
末尾に…すごく正直に…書いてあるのがね…。

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