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zoom RSS ヨーロッパにおける狼の見方の変遷〜 ヨーロッパで狼が悪者にされた理由とは

<<   作成日時 : 2016/08/16 00:10   >>

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読んだのは、「オオカミと神話・伝承」という本。ただしこのタイトルはあまり内容には即していない。

ぶっちゃけ神話に触れられるのは最初の部分だけで、あとは伝承といっても童話とか創作がメイン。作者が「オオカミが悪者にされてかわいそう」「アジアでは神の使いだったり人間の祖先だったりするのにヨーロッパでは悪魔の使いだ」「オオカミを復権しよう」という論調の主張を繰り返すので、1/4くらい読んだあたりから「?? これは・・・神話の解説の本ではない・・・?」って違和感が出てくる。

原題は「オオカミの復帰」または「オオカミの再来」であるらしいので、そのタイトルのほうが妥当であったと思う。訳者は変えないほうが良かった。(とはいえ原題のままだったら私は手にとっていないわけだが…笑)

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序盤の、各地のオオカミ神話・伝承に関するところは、よくある内容なのでフーンってカンジで流していい。
よくあるヨーロッパ人から見た世界各地の神話であり、アジア側の視点だと抜け漏れは沢山在るし、(なんでマヤやアステカが入ってないのだ。とか)エジプトの神話とかちょっと違う。アシウトの守護神はあれはオオカミじゃなくて犬だ。オオカミだと思ったのはギリシャ人。

ちょっと面白くなりはじめるのが2章以降のヨーロッパでの話で、オオカミがなぜ悪魔の使い、悪の化身とされるようになったのかについて、「初期の宗教者が異教徒の例えにオオカミを使ったからじゃないか」という説が出ていた。

確かにキリスト教って、牧師さんという言葉があるように、信者が無垢な羊たちで聖職者が羊飼い、というイメージを良く使うんだよね。で、白い羊に対し、羊を襲う黒い狼は外的、異教徒、悪である、という。なるほどなぁと思った。

それとヨーロッパの民は基本的に牧畜民だったから、家畜を襲う狼は身近な敵として認識しやすかったのだとか。
まぁそもそも狼がいないか少ない地域では、狼が脅威になりません故に…。

日本ではオオカミはあまり悪く描かれていなかったが、それは日本人が牧畜も狩猟もあんまりやってなくて基本的に水田しかない里で暮らしていたこと、山の奥深くまで分け入らなかったため生活圏があまり被らなかったことも理由として考えられるという。

確かに、日本だとヨーロッパみたく、悪いオオカミが人間を襲いに来る民話はあんまり無いなというカンジ。
そもそも町の近くまでオオカミが下りてくることが少ない。むしろ野犬の群れが人間の脅威となっていた。
ヨーロッパではペストの流行などにあわせてオオカミが跳梁跋扈し、「恐ろしい悪魔の使い、人間の敵」としてのオオカミが広く認知されていたようなのだが、日本では伝染病や戦禍と結びつくのは、むしろ野犬だったと思う。

もっとも、著者はそこまで認識していないようで、オオカミと野犬を区別して本を書けていない。かつて神の使いとも認識されていながら、理不尽な理由によって人間によって追い払われた賢く美しい狼への、ややロマン主義的すぎる憧憬をもって帰還を願っている。そのへんちょっと視野が一方的すぎるし考慮が甘いかなぁ、というのが自分の感想。ていうかヨーロッパも野犬いましたよね…。近世まで。



とまぁ、ちょっと不満なところもあったのだが、まあまあ面白かった。
ただ、ヨーロッパって言うならせめて北欧は入れて欲しかったな。最初の神話のところでは北欧神話に触れられていたけど。狼犬を使った犬ぞりで暮らしてる北欧圏の人たちまで考慮に入ってれば、本の結論はもうちょっと違ったところにいってたかもしれない。

最初から、人と共存する道を知っていた狼たちはいる。追われて逃げなかった狼もいる。
自由(狼)か拘束(犬)かの二択にするのも西洋人の悪いところ、その中間に生きた、血自体も狼と犬の中間の存在もいるんだけどなぁ。

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