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zoom RSS 三千年前に生きた人々の記憶は過ぎ去りし時の彼方に… 「バビロニア都市民の生活」

<<   作成日時 : 2016/07/07 00:10   >>

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表紙の丘みたいなのが、本の中で述べられている都市の今の姿だと気が付くまでしばらくかかった。本編では華やかな先進的な都市生活が述べられているのに、今の姿は…ただの廃墟…。どうしてそうなったのかの「その後の顛末」は本の終わりのほうに述べられているが、栄えし都市もいつかは滅びる、町の名前すら忘れ去られてゆく時の流れの虚ろさを感じることができる。

バビロニア都市民の生活 (世界の考古学)
同成社
ステファニー ダリー

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この本は初版が1984年だそうで、その後判明したことや訂正などがあるという。本文中では訂正されておらず、一番最初に訂正が載っているので注意。

あと本のタイトルが若干不適切な気がする。登場するのは二つの都市国家だけだ。原題は「マリとカラナー古バビロニア二都物語」だそうなので、そっちのほうが絶対いい。ちなみにマリといえば、あのHENTAI的なパン焼き型の出土している都市である。どうもこれ、妊婦さんとか乳が出ない人とかの祈願用らしいという説があるっぽいのだが…男性じゃなくて女性用…? いいやとても信じられないね?!

マリとカラナがメインになっているのは、これらの都市から大量の文書や物品が発見されており、都市国家の生活が再現しやすいからだという。特にマリは、古バビロニア時代の生活を再現する一級資料が山ほど残されている。ただし一般的に、生活痕を大量に残した遺跡というのは、急に放棄されてそのまま再建されなかったことを意味する。(エジプトでいうアマルナの都) 巻末まで読んで都市の最後を見届けたあと、表紙を閉じるとそこにある現在の廃墟となった姿。諸行無常である。

マリとカラナという二つの都市の話だけなので、同時代のほかの都市すべてに当て嵌まるわけではないだろうが、おそらく食生活や祭儀の様子、価値観などはほぼ同じのはずだ。日々の生活が生き生きと蘇ってくるような細かい描写はとても面白い。古バビロニア時代で遊んでみたい人にはよいガイドブックになると思う。

以下は自分が気になったところ、特に印象に残ったところだ。


●イナゴ食べてた

貴重なタンパク源として、イナゴを捕獲して食べていたらしい。マリやカラナは川の上流のほうなので川魚もあんまり取れ無さそうだし、海は遠い。山や森が近くに豊富なわけでもない。確かにタンパクは取りにくそうな立地だがしかし、…イナゴ捕獲して国王に送ってたって…つまりありか王宮の食卓にイナゴ料理出てたのか。どんな調理法だったのかは是非知りたいところだ。

●アジアとの交易

テルカ遺跡の発掘でクローブ(丁香)が検出されているという。クローブといえばアジアの、インドネシア近辺の産出物。つまり古バビロニア時代にはもうアジアとの交易があったというのである。インドを中継地にしてたのかなーとも思ったけど、インダス文明は衰退期だし、どこをどうやって通ってきたのか非常に興味がわく。

●メソポタミア蜂蜜食べられない

メソポタミアって、天然の蜂はほとんどいないらしい! 知らなかったぜ。ていうか荒野に花も咲かないのか。それか暑過ぎるとダメなのか。エジプトにはいっぱいいたのに。養蜂による蜂蜜は希少な舶来品として扱われていて、一般民はナツメヤシのシロップを甘味として使っていたそうな。ナツメヤシってそんな使い方もアリなのか。

●ビールベースのカクテルがあった

前にメソポタミアのビールって実はカクテルじゃないのとか適当に言ってみたけどだいたいあってた。大麦でつくったビールにザクロで香りをつけるとアラッパーヌムというビールベース・カクテルになるらしい。ビールにアニスの果実や香りづけの薬草を入れてつくるヒムルムという飲み物も紹介されている。なんかおいしそう。



あとちょっと「ん?」と思ったのが、ギルガメシュ叙事詩についての言及、ギルガメシュがエンキドゥの死体が腐るまで一緒にいたっていう描写なんてあったっけ? 自分ちにある和訳だと、バビロニア語版以外の版でもちょっと見つけられなかった。和訳されていない亜種の版にはあるのかもしれない。今度調べてみよう。

 →(2016/07/23 古バビロニア語版にあったよ!)


******

メソポタミア関連の本は、聖書に繋がるからなのか欧米では大人気だが、日本ではあまり新しいのが出てこない。まあ殆ど出ないジャンルもある中ではけっこう頑張ってるほうなんだけど、冊数とかクオリティで見るともうちょっと出してくれてもいいのにって思うことはある。

そんな中で、この本は、「リアルなメソを知りたいならとりあえず読んでおくといいよ」って感じの位置かな。個人的に、バビロニア時代は統一前のほうが面白いと思うんだ。

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