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zoom RSS 8千年前のヤギのDNA解析 〜考古学×遺伝子学で辿る家畜化の起源

<<   作成日時 : 2016/06/17 00:10   >>

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従来説を覆した! みたいな話は、たとえ根拠が薄かろうと結論に多少のムリがあろうと、マスコミが飛びついて宣伝してくれるのだが、従来説を補強する研究はやってることが凄くてもスルーされるのが世の常。しかしながら、そうした地味な研究の積み重ねで世の中の常識が作られていくのは事実である。


というわけで、「ヤギの飼育化はだいたい1万年くらい前の"肥沃な三日月地帯"で始まったよね」という説の根拠となるデータが、8000年前のヤギの骨の分析で判明しましたよというニュースがこちら。


8千年前頃に肥沃な三日月地帯から家畜ヤギが拡散した証拠を示す
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20160601_num.pdf

やったよ日本語のドキュメントだよ…日本語だよ…よめ…る…よ・・・・・


最近はイヌにしろネコにしろ起源地を探すぜ! な研究で 考古学者と遺伝子学者が組んでるものが多いけど、これもそう。日本人同士で組めるあたりが層が厚いというべきか。

で、この研究は、何かというと…

正直プレスリリースの文章はあまり説明が上手ではないので分かりづらくなってるけど、要するに「8000年前にはもう家畜ヤギと野生ヤギは遺伝子の系統が分岐してました」ってこと。

8000年前の家畜ヤギの骨から採取したミトコンドリアDNAの系譜が現地にもともと存在する野生ヤギのものとは違うことを証明し、それによって「家畜ヤギはよそから連れてこられたもので、現地で飼いならされたわけではない」という結論に至っている。


ただし注意が必要なのは、今回解析されたのは2遺跡5個体分のデータでしかないということ。
それとミトコンドリアDNAなので母系の系統しか分からない。


論文中に出てくる「増幅」という単語がたぶんポイントとなる。
DNA情報は時間がたつと壊れていってしまうが、最新の技術では壊れた部分を自動修復するとによって読み取れる状態に戻すことがある程度まで出来る。要するにLinuxでいうfsckみたいなもんだと思いねえ(余計わからんわ)。

しかし、細胞核は、ひとつの細胞の中にひとつしかない。そして配列がとても長い。なので核DNAは修復が困難。
一方でミトコンドリアはひとつの細胞の中にたくさんあるうえに塩基配列が短いので、増幅しやすいし修復も簡単。コピーがいっぱいあるってことなので、断片化しててもそれを繋ぎ合せればなんとかなる。

古い骨の系統研究でミトコンドリアDNAが出てくることが多いのはそういうこと。



今回、母系の情報しか出てきていないので、現在でも遊牧民がよくやるような「飼いならしたメスを放牧して野生のオスに種付けさせる」という飼い方をしていた場合、父方の遺伝情報は全く出てこないことになる。もしかしたら、Y染色体情報まで取れたら別の結果になる可能性もあるわけだが、そのへんはたぶん今後の研究次第。まさかとは思うがヤギの起源地にまで中国産が参戦することもあるかもしれない…起源地好きだからなあそこ(笑)

発掘で出てきた古い骨のDNA解析をやるっていうのは、どうも最近のトレンドっぽいので、今後もこんなカンジの研究が続く気がします。でも人文系だから遺伝子とかワカンネェヨ…って人は、とりあえず初心者向けの本とか読んでみるといいんじゃないかな!


**************


人間のDNA、この本は用語の定義がしっかりしてるので初心者にもオススメ。

 他分野だからいえること 「DNAで語る日本人起源論」
 http://55096962.at.webry.info/201603/article_17.html


植物の遺伝子を解析するっていう研究も最近はやってる。

 日本の遺跡から稲を発掘する。「DNA考古学のすすめ」
 http://55096962.at.webry.info/201602/article_2.html

あとこれも忘れちゃいけない…

 DNA解析の限界/実は単品ではあまり役にたたないという話
 http://55096962.at.webry.info/201602/article_3.html

こうやって手を出すジャンルが増えていくと楽しくなってくるんだぜ。

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