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zoom RSS 「記号」と「文字」の違いとは。"古代人は絵文字を使っていた?"というニュースの"?"の意味

<<   作成日時 : 2016/06/12 00:10   >>

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ちょっと前に流れたこのニュース。

古代人は「絵文字」を使っていた?欧州の洞窟壁画に残る幾何学的な記号の謎に迫る
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/060100194/

「すごいな! 人類1万年前から文字使ってたのか」と思った人は残念ながらちょっと早とちりしすぎ。
タイトルについている「?」には重大な意味が隠されております…。

 記号と文字の違い

これ。

「文字」と呼ぶからには、その文字が指し示す言葉が常に一定である必要があります。そのためには、既に言語が確立していないとダメです。
たとえば「×」というしるしがあったとして、そのしるしが常にバイソンのことを指していたとすれば、×という記号は文字と呼びうるものになります。しかし古代の壁画や今回の岩絵などで、これを立証するのは非常に難しい。単なる「記号」なのか、本当に「文字」と呼びうるもの(=言語を記号化したもの)であるか、それとも絵の意匠なのかは区別がつかないです。

だからタイトルには「?」をつけざるを得ない。
可能性はあるけど立証困難ということ。

メソポタミア学者の言を引用すると、こうなります。

"私の考えでは、この文字という用語を一部の歴史学者や考古学者は、あまりに軽々しく使いすぎている。偶然のものとは思えないデッサンを目の当たりにしたとたんに、彼らはこれを文字と呼ぶ。だから、「ブルターニュの巨石群の文字」のことが取り上げられたりするのである。実のところ、もしある単語がきちんと限定された意味をもつものであるとすれば(今日このことはますます忘れられあるいは否定される傾向にある。公式にではなくとも、少なくとも話し言葉では!)、文字であるためには、考えや感情の表れであるメッセージの存在だけでは不十分なのである。言語であるためには、叫び声だけでは不十分であるのと同様のことである。さもなければ、すべての造形芸術は文字であるこということになってしまい、大混乱を引き起こすことになろう。"

「メソポタミア」法政大学出版会




「ブルターニュの巨石群の文字」は、日本語だとあまり資料がないので、日本人なら「神代文字」に置き換えると分かりやすいかもしれません。(ちょっと違うが…) 神代文字には、完全な近世の捏造もあるが、大昔に使われていた「記号」と思しきものも含まれてますんで。

上記の引用部分の中で重要なのは、ここの部分。

「文字であるためには、考えや感情の表れであるメッセージの存在だけでは不十分なのである。言語であるためには、叫び声だけでは不十分であるのと同様のことである。」

! のマークだけでは文字にならないんですね。

「牛」の絵と!がたくさん並んでいたとして、「牛いっぱいみつけた!!!!」という感情を表現しているんだと解釈できても、残念ながらそれは言語でも文字でも無いです。

だから、本文中にある

"表記体系とは、「話し言葉を組織的に表記したもの」と定義される。口頭で述べることのできるアイデアや意見はすべて、書き留めたり刻み付けたりできる。しかし、ヨーロッパの洞窟画家たちは十分な数の記号を持たず、また記号を組み合わせて自分たちの言語に登場する言葉を全て表記する術を持っていなかった"


という記述は、これが文字ではなかったことを遠まわしに結論付けている。頑張って話を盛っても、文字ではないけど、将来的に文字に発展する概念だったかもしれない、とするしかないってこと。ちゃんと本文読めば意味分かるけど、ややタイトルの誘導ミスかなぁって気はします。はい。

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