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zoom RSS アレキサンドリア大図書館はただ本の多い図書館だっただけではない、という話

<<   作成日時 : 2016/05/25 00:10   >>

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流し読みしていたニュース記事の中にこんなのを見つけて、申し訳ないけど「いやー何も知らない人がお仕事で無難なこと書いただけなんだろうなコレ…」と思ってしまった。

古代エジプトに実在した知の殿堂を 見事に現代へと蘇らせた巨大図書館
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160502-10010409-creaweb-life

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エジプトの第二の都市アレクサンドリアには、確かに大図書館が建設されました。かつてそこにあった著名な「大図書館」の再現を目指したものです。しかしこの図書館は、どんなに収蔵本を増やしても、どれだけ優れた設備を擁しようとも、最新の技術を取り入れようとも、古代の大図書館には追いつけません。

なぜなら、

 アレキサンドリア大図書館が世界一であったのは

 当時の世界最高の頭脳が集う場所でもあったから


です。


図書館にはムセイオンという機関が併設されていました。ギリシャ神話の学問の女神ミューズを名の由来とする学究機関です。
これはアリストテレスの開いた「リセウム」やプラトンの「アカデメイア」を真似てつくられたもので、会員には免税、食堂で無料で食事が出来るなどの特権がありました。残されている資料は限られていますが、時に国王も参加するシンポジウムが開かれていたともいいます。

ムセイオンには、先行したギリシャ諸都市の図書館・学究機関には出来ないことが出来ました。
ノンポリOKという風潮です。学閥に所属しなくても良かったのです。ムセイオンの庇護者はアレキサンドリアに首都を置くエジプト王朝の支配者プトレマイオス王家でしたが、王家は純粋な学究機関を奨励しました。また哲学にはあまり興味を持たなかったため、ギリシャ世界のようにヘンに伝統や学閥に縛られることなく研究を進めることが出来たといいます。

*参考にこのへんとかドウゾ
古代アレクサンドリア図書館―よみがえる知の宝庫 (中公新書)
中央公論社
モスタファ エル・アバディ

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これが意外と重要。

ギリシャではギリシャ人至上主義がありましたが、エジプトではギシリャ人は自国の長い歴史に比較して「ペーペーの新参」という認識で、ユダヤ人やローマ人、フェニキア人やアラム人など、やってくるほかの民族に比較して優れて偉いという認識は無かったようです。逆に自国の伝統をヨイショしすぎるきらいはありましたが、そもそも支配者のプトレマイオス王家自体が余所者なので、それほどエジプト至上主義でもなかったのでバランスが取れてたのです。

国際都市アレキサンドリアが目指していたのは、民族と文化の融合でした。
王家がギリシャ系の余所者で、統治対象のエジプト人とは民族も文化も違っていたところから生まれた理念ですが、それが大図書館に付随した研究機関で自由な思想が育まれる下地にもなったわけです。

こうして、アレキサンドリアは「世界最高の頭脳が集まる学術の地」となりました。
そして研究者とともに書物も流れ込むようになったことが、図書館の蔵書量を増やす起爆剤にもなったんじゃないかな。図書館だけ建てても、それを有効活用する優れた学者さんたちが全然来なかったら意味ないのですよ。つうかね、本は読まれてこそナンボ。専門書を読むのはそれ専門の人かよっぽど興味ある人だけだからね。



というわけで、かつてのアレキサンドリア大図書館を模したいのであるならば、併設すべきはプールなどではなく自由な言論の場と教育機関でした。言論統制が年々厳しくなりつつある今のエジプトでは非常に難しいことですが。

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