現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS エジプトの考古学の発見情報は「政府による情報統制」を受けている。という話

<<   作成日時 : 2016/05/23 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

前回書いたコレのあと、ちょっと気になっていたこと。

ツタンカーメン狂想曲に踊った人々と眺めてた人々 「隠し部屋」報道の裏にあったものとは
http://55096962.at.webry.info/201605/article_11.html

隠し部屋の存在を否定した二回目のスキャンの情報が全然流れてなかった、という話を書いたのですが、どうも永遠に情報が出てこない気がしてきました…



エジプトで発掘とか調査とかやるのには、以下のような制約があるらしいんです。

 ●エジプトの発掘とか調査とかはぜんぶ政府の許可が必要
 ●何か発見しても発表には政府の許可が必要


よそさまの国にいって発掘するんだからまぁその国の許可が必要ってのは当然ですが、問題は、何か発見しても発見した内容の発表が自由に出来ない という制約のほう。

勝手に発表するとクッソ怒られてヘタすると二度とエジプトで発掘許可下りない。なので勝手に情報流すなよ? というお約束に同意して研究者はデータをとってたりするわけですが…今回のツタンカーメンの墓に隠し部屋があるとかないとかいう騒動は、まさにこの制約がエジプト政府に都合よく利用されたなという感じ。

断片的に出てきてる情報を組み合わせると、エジプトさんのやってることがかなりエゲツナイなというのが見えてきます。




まずこちらのlivescienceの記事。

Nefertiti Still Missing: King Tut's Tomb Shows No Hidden Chambers
http://www.livescience.com/54708-nefertiti-missing-no-chambers-in-king-tut-tomb.html


"Additionally, at a conference on Tutankhamun held this past weekend at the Grand Egyptian Museum, the researchers who conducted the radar survey were not allowed to present their research. Watanabe and Reeves, in contrast, were able to present their full papers. "


 ↓

ツタンカーメンの墓にネフェルティティも眠っているに違いない、という論文を書いたリーブス博士、および最初に壁面のスキャンを行い空間があると結論づけた渡辺氏はFull paperを発表させてもらえた。

けれど二回目にスキャンを行い、空間はないと結論づけたナショナル・ジオグラフィックのチームは発表をさせてもらえていない。


「ちょww」ってなりますよコレ。公の発表の場で発表できるかできないか、エジプト政府が決めてるんですかよっていう。

ナショジオチームのスキャンが行われたのは4月半ばですが、この会議の行われるまで1ヶ月も表に結果が出てこなかった。そのうえ現在まで生データの公開もされていない。二回目のスキャンの結果が「否」であったにも関わらずその内容はマスメディアに一切流れないまま5月はじめの国際会議に突入し、そこで専門家たちが懐疑の声を上げ始めたので、何も知らずに見ていた人たちには「迷走」と映ってしまったんだと思う。



もう一つNewsNetwork Archaeologyの記事。


Egypt accused of 'suppressing truth' over hidden chambers in Tutankhamun’s tomb
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.jp/2016/05/egypt-accused-of-suppressing-truth-over.html#DURsUgYWe6uHAGdZ.97


"But scientists say the evidence, based on new research, is being suppressed by the government in Cairo."


 ↓
新しいスキャンの結果はカイロの政府が発表させてくれない。


ズバリ書かれてます。二回目のスキャンを行ったグッドマン氏の生データは公開されていませんが、エジプトさんが止めてるんですね。生データを複数の専門家が見て確認しているとのことなので、二回目のスキャンの結果は確信が持てそうですが、本来ならそのデータをオープンにして広く議論するべきじゃないのかという話。

というか、渡辺さん一人を悪者にしようとしているけど、ぶっちゃけそっちのデータもエジプト政府が発表を禁止してるんじゃないかという気が少しするんですよね…。渡辺さん英語喋れないから、通訳がちゃんとされてるのかなぁ。それこそ日本のメディアがどうだったのか聞きにいけよって感じもするんですが。

これがエジプトで発掘してる人たちの現実だとしたら、厳しすぎる。



で、ナショジオチームが行った二回目のスキャンについての情報、今までに表に出てきてるのは、会議で提示されたこの図だけです。

画像


空間があるとこは赤い色で表示されるはずなのです。
でも画面は真っ青。壁のすぐ向こうに大きな部屋があるとはとてもいえない状態。電磁波レーダーの専門家が強い口調で「何もない。」と断言した理由が、これを見ると分かります。確かに何もない…。

じゃあ一回目のスキャンの結果は何だったのか。有機物があるとか言ってたのは? という話ですが、そちらのデータも公開されていないので、どうにもなりません。会議が迷走したわけではなく、隠匿しきれなくなってボロが出ただけというのがおそらく正解な気がします。

もともとザヒ・ハワス博士は、「隠し部屋? いいんじゃない? 観光客が戻ってくるなら調査もアリよ^^」みたいな感じで、一回目の渡辺氏のスキャン後、2月あたりまではノリノリだった。(ツイッターとかブログとか) 3月あたりから雰囲気が怪しくなってきて、4月に別チームの二度目のスキャンがあったあたりから何かキレ気味になってるように見える。

二度目のスキャンが行われた直後には、もう、隠し部屋のある可能性は低いんだろうなって分かってたんだろうな…。発表をギリギリまで引っ張っただけで。




つまり、この件は全然オープンな議論とかされてないのです。

 ・隠し部屋の存在を否定する結論を出したチームは、国際会議の場で発表すらさせて貰えなかった。
 ・論文を出そうにも元データが利用できる形で公開されていないから出せない。

反論したい人、疑問を抱く人は一切表に出られない。せいぜいSNSで軽くぼやくくらい。(そしてその声は公式なものではないのでメディアには拾われない)
情報が秘匿されている状況にまず問題があるので、憶測でものを言うなという批判はそもそも的外れ。

私なんかは外部の人間なので「エジプトさん相変わらずスゲェなあwww」とか笑って見てられますが、現場の人はよく正気でやってられるもんだと思う。皮肉ではなく尊敬する。遺跡がある国の態度がこれなんだから、変えるのは相当難しそう。



*************

【覚えておくべきこと】


エジプト関連の考古学ニュースは、特にエジプト現地での発掘調査などに関するものの場合は、 エジプト政府検閲済み、都合の悪い情報は表に出されない。


しかしエジプトさん、いつまでこんなのやるんだろうなぁ。
考古学産業っつったって限度もあるだろうに。


*******
・豆知識

エジプト政府が発掘調査とかの発表にうるさくなったのは、歴史を辿っていくと、ツタンカーメン王墓を発見したハワード・カーターが、自国イギリスのメディアを優遇して地元エジプトのメディアに一切情報を流さなかったあたりに原因があります…。カーターはイギリスの新聞社一社にしか情報を流さなかったので、地元エジプトの新聞社がブチ切れて、その時から地元メディア優先のルールが出来ました。

奇しくも今回、外国の学者たちの出した見解をエジプト政府が発表差し止めしたのもツタンカーメン王墓がらみ。生きていた時代には第18王朝の終焉を招き、死してからは考古学者とメディアの在り方を問う。この王様、どこまでも時代の狭間に縁のある人だなぁと思うのです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

エジプトの考古学の発見情報は「政府による情報統制」を受けている。という話 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる