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zoom RSS 「黄金のアフガニスタン展」へ行ってきた。〜もしかして知名度不足か?

<<   作成日時 : 2016/04/21 00:10   >>

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黄金のアフガニスタン展、先行で九州の大宰府で開催されたものの東京Ver。ちょろっと行ってきました。

<公式サイト>
 http://www.gold-afghan.jp/

九州では、関係者が気合い入れて開催したわりに人の入りがイマイチだったという話なの、だが、、、、、内容が悪いのか宣伝が悪いのかというと、たぶんこれ タイトルミス だと思う。つまり宣伝の仕方のほうが悪い。内容は悪くなかったです。

去年「黄金伝説展」という類似のものがあったので、似たようなタイトルだったこちらは「同じようなのは見に行く必要ないや」となってしまったのではないかと思う。展示品には確かに黄金製品が多かったけれど、実際はそれが主題ではない。というか日本でのアフガニスタンのイメージって、どうしても、タリバンに破壊されてしまった「バーミヤンの仏像」だと思うんですよ。あとラピスラズリとか。なので、「アフガンで黄金? 何やるのかよくわからない」というイメージになってしまった可能性もある。

黄金という言葉に永遠とか不変という意味を持たせたかったのかもしれないけど、"破壊された博物館から持ち出され、戦火を潜り抜けて奇跡的に残った財宝" という部分をメインとして、タイトルや宣伝方法を考えたほうが良かったんじゃないかな。(つまりサブタイルをもっとプッシュしたほうが良かった・・・ということ)

それとシルクロードっていうキャッチフレーズも、ビミョウに今回の展示とはイメージと合わないと思った。日本人にとってのシルクロードは、"地中海世界からインドと中国を抜けて日本に至る道"で、アフガンを含む中央アジアのイメージが薄い気がする。東海道新幹線で例えるならアフガンは三河あたりで、今回の展示内容が熱海と名古屋の間での物流なので東海道って言われてもピンとこない、みたいな。

わかる人にはわかるんだけど、大多数の人にはイメージのつきにくい展示会になってしまっている感が多少。行って実際に見れば意味がわかるんだけど、そこまで興味を持つに至らない人が多いというか。見れば面白いのに宣伝の仕方で失敗してる展示会って悲しいよね。そこも学芸員さんとかスタッフの腕の見せ所だと思うんだ。


*******

折角なので、多少の補足を試みてみる。

今回のこの展示会で展示されているものは、イスラーム芸術でも仏教芸術でもない。
公式ページを見てわかるとおり、「文明の十字路」、シルクロードの、ギリシャ・ローマとインドとアジアの文化がちゃんぽんになった混合文化である。紹介されているのは以下の遺跡だ。

 ・テペ・フロール遺跡(メソポタミアとインダスをつなぐ文明、と紹介されている) 紀元前2100-2000年頃
 ・アイ・ハヌム遺跡(グレコ・バクトリア) 紀元前3-4世紀
 ・ティリヤ・テぺ遺跡(サカ・パルティア) 紀元前1-紀元後1世紀
 ・ベグラム遺跡(クシャーン朝) 紀元後1-3世紀

入ったとこにいきなりコリント様式の柱があるので、アフガン周辺の美術とかに疎いと「なんでこんなもんがあるの? 仏教じゃないの?」ってなるだろうなと思った。ただパネルで「アレキサンダーの遠征のときにこのへんに都とか作ってたんじゃよ」と説明されているので、ちゃんと読めばわかる。展示の解説は全般的にかなり親切だった。しかしそもそも論として展示されている時代のアフガン付近の文化がそれほど知名度高くないと思われるので……初見さんが何処まで理解出来るのかは…うん。。。音声ガイドとかで補足あるのかな…。

仏教っぽいものはほんの少しだけ。ガンダーラ芸術あたりのものがあったくらい。
ちなみに展示品の時代が紀元後3世紀あたりまでだったのでイスラム教はまだ誕生しておらず、当然それ関係のものは無し。アフガニスタンといえば世界的に数少ないラピスラズリの産地だが、それも無し。現地で作られたものというよりは、地中海やインドとつながる物流路を通じて入ってきたものが多い感じだった。

面白かったのは、プトレマイオス朝〜ローマ支配初期あたりのガラス製品とか、ハルポクラテス神やセラピス神の像なんかもあったところ。「あっ、キミらも来てたんだぁ〜お久しぶりちーっす」って感じで展示品の中にまぎれてた(笑)  まぁねヘラクレス像がインドまで行くくらいだしね、エジプト神(正確にはギリシャ化した姿だけど)がアフガンにいても不思議じゃないよね。

あとコレ。この円盤すっげえ笑った。

画像


これはねー どうやって使うのか、再現したやつが現地にあるからぜひみてほしいの。動きが無駄にリアルで「よく考えるなこんなんw」ってなったから。海のないアフガニスタンならでは…なのか。



というわけで、展示数はそんなに多くないけど面白かったので、新たな見地を広げるという意味ではオススメ。
ただ一つだけ、ほんと蛇足だよなって思いながら言っちゃうと、キャッチコピーにもなってる

 「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」

…これさ、展示品のほとんどが 現在のアフガニスタン人(パシュトゥーン人※)のものじゃない…よね…?^^;

「国」と「民族」と「文化」って、一致しないことがほとんどだと思うんだ。
たとえばトルコはテュルク人が建国したってことになっているけど、現在の"トルコ"という「国」に住んでいるのはテュルク人ではない。いろんな民族が混じってるのはもちろんだし、元々そこに住んでたギリシャ人の末裔もたくさんいるし、トルコの歴史の中にはヒッタイトも混じってるけど、ヒッタイトなんて現トルコには繋がらない帝国だよね。たまたま興った場所が今はトルコ領内だってだけで。

「黄金の」と展示会のタイトルにもなっているティリヤ・テぺ遺跡出土の黄金副葬品自体、「正体不明の遊牧民族」もの、ということになっていて、その子孫が今もそこにいるのかどうかは微妙。というか遺跡自体が国境にかなり近い場所にあるので、たまたま現在はアフガニスタンに入っているけど、もしかしたら隣の国になっていたかもしれず、その場合は「アフガニスタンの遺跡」ではなかった可能性もあるわけだよね。

果たして何をもって「自らの文化」と言うのか。
そして文化が生きているのに国をなくしてしまった民族、たとえば最近独立運動で盛り上がってるカタルーニャなんかはどうなるんだ、っていうツッコミもあったり。

「自ら=人間」という意味での「自らの文化」であれば分からなくもないのだけれど、物質的な文化を持たない人間(たとえばイヌイットとかアボリジニのような人々だ)は認められないのか的なことにもなりかねず…。



まあ余計な話なんだけど、やはり少し違和感は感じる。そもそも「国」や「ナショナリズム」というものが戦争の原因になっていることを考えるに、このキャッチコピーは自らに向けた皮肉とも取れた。というわけで、あんまり前面に出さないほうが良かった気がする。

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※パシュトゥーン人はアフガニスタン国内で最大の民族だが、それ以外の民族もアフガニスタン領内に住んでいる。
なので、アフガニスタン人が「われわれの文化」と言った時は、無意識に最大の民族のものを指していると思われるが、厳密に言えばどの民族の文化なの? というところを気にしたほうがいいと思う。

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