現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS 古代語・神話関連の固有名詞におけるカタカナ問題 〜表記名はどれが正しい?

<<   作成日時 : 2016/03/10 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

何度か書いてるような気がするけど、念のため再掲。
神話関連の固有名詞のカタカナ表記が本によって違う! 一体どれが正しいの? という時の判断の仕方です。

結論から言うと

 ●だいたいのカタカナ表記は、ほぼ正しい。どれでもいい。
 ●ただしごく一部、明らかに"間違い"と言えるものがある。

というわけで、まずはカタカナ表記がバラける理由から説明していきます。
神話で使われる言語は、だいたい以下の2パターンに分かれます。

 (1)既に使われていない言語
  →古代エジプト語、シュメール語、アッシリア語など

 (2)今でも一部使われている言語だが古い形態
  →ケルト語、古英語、ラテン語など


(1)の場合、そもそも正しい発音がわかりません。

たとえばヒッタイト語の場合、水を意味する「watarma」という単語があります。文法や単語の類似からヒッタイト語は印欧語に属することが分かっているので、この単語は英語の「water」に相当します。ならば英語の通り読んで「ウォーターメ」でいいのかというとそうじゃありません。同じ印欧語系でもドイツ語だと水は「wasser(ヴァッサー)」になるから。ヒッタイト語がどっちの発音に近かったのかなんてわかんない。もしかしたら「ヴァタールマ」みたいな発音だったかもしれません。現在のカナ表記は、単に現在有力な学説の一つに過ぎないんです。

これは古代エジプト語などの場合でも同じ。綴りから再建される音価は、現代に残っている、子孫となる言語から推測したものに過ぎません。学説に従って学者さんの間では一応ルールがありますが、それでもバラつきが出ます。

 【発音に従ってカナ表記しているが、その発音がそもそも不明なのでバラつきが出る】

この場合は、大きく違うのでなければ、どんなカタカナ表記でもだいたいオッケー。ていうか逆にどれが正解なのか決められないです。

エジプトの場合の事情はこちらの下のほうにも書きました。日本語への翻訳でカタカナにする場合は、元の文章が英語かフランス語かイタリア語か、といったところでも綴りがブレてきます(´・ω・`)



(2)の場合、採用する時代/場所によって発音が異なります。

分かりやすいのが北欧神話ですかね。ノルド語は現在も使われてますが、神話での言語は古ノルド語とか古英語とか中世のドイツ語とかです。なので現代の発音を使うか、昔の発音を使うか、昔の発音の場合でもどの地域の言語を使うか、によって表記が異なります。例えば雷神のトールですが、「トール」はノルウェー基準の発音で、「ソール」はアイスランド基準です。現代英語だと「ソー」ですね。マイティ・ソーって映画がありますけども。

そして、明らかな間違いが発生するのは大抵こちらのパターンです。
以下のようなパターン。

クーフーリンの名前の意味は「ホリンの猛犬」か「クランの犬」か。誤解の出所を調べてみた
http://55096962.at.webry.info/201403/article_12.html

日本語で「ク・ホリン」とか「クーフーリン」とか言われてるケルトの英雄がいますが、実は「ク・ホリン」は厳密に言うと間違いです。綴りでは「Cú Chulainn」となっていて、「Chulainn」がホリンに近い発音となるのは、前の「Cú」と繋がったとき。クが二回重なると二回目が聞こえなくなるという現象。つまり単語でキッチリ分けるなら「ク・クラン(クォラン)」なのです…。

実際に聞いてみると分かりやすいです。
以下のページの「listen」とこクリック。

https://en.wikipedia.org/wiki/C%C3%BA_Chulainn

画像


 ケルト語の発音からカタカナ表記を起こすと クホールン とか クーフーラン。
 英語綴りの Cuhullin から起こすと クフーリン。
 ケルト語綴りの Cú Chulainn から起こすと ク・クラン。

という感じ。本によってカタカナ表記がブレてくる理由が分かりますね。
ここにさらに古語の発音の再建をどうするかとかいう話を加えると「うわあああ」ってカンジになって私のキャパを越えます、あとは文学部の人とかに任せた(`・ω・´)


ちなみにカナ表記には時代のトレンドというものもあります。エジプト神話のホルス神は、明治時代あたりの本を見ると「ホオラス」になってました。これはたぶん、最初に日本に入ってきた本がドイツ語だったからだと思います。最近は英語基準のカナ表記が多いかな。南米の神話とかだと、現地の現在の言語にあわせてスペイン語表記からカナが取られてたりします。



というわけで、もう一度言いますが

 ●だいたいのカタカナ表記は、ほぼ正しい。どれでもいい。
 ●ただしごく一部、明らかに"間違い"と言えるものがある。

よほどのことがない限り、本に書かれているカナ表記はだいたいどれも間違いではないです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

古代語・神話関連の固有名詞におけるカタカナ問題 〜表記名はどれが正しい? 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる