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zoom RSS 【歴史萌えポイント】古代エジプト第18→19王朝の移り変わりがドラマティックすぎた。

<<   作成日時 : 2016/02/24 00:10   >>

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第18王朝といえばツタンカーメンが有名で、そのへんばっかり取り上げられるんだけど、実はもうちょっと後にものすごい妄想力を掻き立てられる歴史イベントが控えているんだよ、っていう話。

第18王朝から第19王朝への変遷。
ホルエムヘブ→ラメセス1世の部分です。

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まず最初に神話的な萌え要素ブッコみますが、ホルエムヘブは即位後に「フネスのホルス」という守護神に言及していて、フネスはファイユーム地方南の地名です。おそらくそこが出身地で、故郷の土地神がホルス神だったんだと推測されてます。ホルエムヘブは、名前に「ホル」が入ってることからも分かるように、ホルス神を自分の守護神にしてる人。

対する次代のラメセスは、父や息子の名前が「セティ」であり、孫のラメセス2世がセト信仰の記念碑を残していることからも分かるように外来系の祖先を持ち、セト神を守護神に据えてる家系です。

つまり、

 ホルス→セトに王権が委譲されてるわけです。


エジプト神話上最も有名なエピソードと言っても過言ではない、「ホルスとセトの戦い」という王権争いの神話を知ってる人なら、この意味が分かりますよね。神話の中では八十年もかけた総力戦で決着がつかなかったというのに、人の世の歴史が始まって数千年、争わずに握手で王権が渡される日が来たわけですよ。ある意味、人が神を越えた瞬間なんですココ。




そして、第18→19王朝の王位継承には、実は血の繋がりが全くありません。
ホルエムヘブとラメセス1世は全くの他人。婿養子とかですらない。

ホルエムヘブには実子がいなかったので、同僚で信頼できる部下だったパ・ラメセス(パラメスゥ)という人を後継者に指名して王位を譲ってます。タテマエ上は神聖なる血筋の万世一系であるファラオの系譜の中で、血のつながりのない人物に平和的に王位を譲ってるというのは、物凄い珍しいイベント。

一体この二人どういう関係だったんだろうって興味湧きますよね。
調べてみると、パラメスゥの父セティがどうやらホルエムヘブの同僚で、宰相もつとめていたらしい。で、その息子も父の後を継いで、ずっとホルエムヘブの腹心をやってたっぽいです。

ホルエムヘブはアクエンアテンの時代からアマルナ王家に仕えていた庶民出の軍人。セティとパラメスゥの親子も軍人。
ホルエムヘブの死亡年齢は不明ですが、セティの息子がホルエムヘブの後に即位している=年下なことからして、年齢を逆算してみると、おそらくホルエムヘブとセティが出会ったのはアクエンアテンが健在だったころのテル・エル・アマルナ、アテン神の都だと推測できます。
ということは、二人は宗教改革の激動の時代を共に生き抜いた同僚。アクエンアテン在位中の激変も、アクエンアテン死後の国内の政治的・宗教的な混乱も二人で共に見てきた…となれば、そりゃあ厚い信頼も寄せるし友情も結ばれますねって感じ。

参考までに、かなりザクっとした年齢テーブル作成してみました(`・ω・´)
アイ、ホルエムヘブの死亡年齢は不明なんで、アマルナ王朝終焉時の立ち場から推測。
ラメセス1世は即位した時点で既に孫が生まれているので、このくらいかなと。で、ラメセス1世の父セティの年齢はそっから逆算。ものすごく粗い計算なので、年齢のわからない人は前後10年くらいズレるかも。

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ホルエムヘブには実子はいませんが、結婚はしてました。

一人目の妻は即位前に死亡。二人目の妻ムトノジュメトには出産の形跡がありますが、子供は誰も生き残らず、彼女の遺体はおそらく死産と思われる嬰児とともに葬られていました。家族運にはあまり恵まれていなかったようです。もしかしたら、友人の息子のことを実子のように可愛がってたりしたのかなぁ。在位中から後継者として指名していたのはそういうことなのかもしれない。

ツタンカーメンが若くして亡くなった後、後を継ぐのは宰相だったアイ。
そのアイも死亡し、次に即位するのが将軍だったホルエムヘブ。
庶民出身から権力を掴んでのサクセスストーリーですが、その道のりが楽だったはずもない。約束された血筋でない彼には、きっと色んな困難や裏切りなんかもあったんだろうな。ただ彼には、それを支えてくれた仲間が少なくとも二人はいた。

そう考えると、ホルエムヘブの生きていた姿が見えてくるような気がしませんか?


日本では、一時期のひどいバラエティ番組のせいで何でだかツタンカーメン暗殺犯扱いされてた彼ですが、詳細に記録を辿っていくと、悪い人とは思えないんですよ。アイの墓はぶっ壊してるけどツタンカーメンの墓は見逃しているあたり、アイは嫌いだったけどツタンカーメンのことは好きだったんじゃないのかな、とか。年齢を計算してみるとツタンカーメンは息子くらいの年だった可能性もあるわけで、子供の居ない彼にとって大事な存在だったんじゃいのかな、とか。

もちろんそのへん証拠なんてないですよ。何千年も昔の人間関係なんて分かるわけもない。
でも想像したくなるんですよ。無機質な記録じゃなくて、実際に温度を持って生きていた人間として、彼らのことを。



歴史は、書かれてることを読んで覚えるだけでは全然面白くないです!
自分で疑問に思ったことを調べて、考えて、文字の向こうに動く人間の姿が見えてきたとき、はじめて面白くなります!

遺された断片をつなぎ合わせてみてください。学術的な探求では許されないかもしれませんが、空想の中なら何を設定しても自由です。自分だけの萌えポイントが見つけられたら、あなたも時の旅人になれる。


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参考

第18・19王朝の王名リストとかはこちら。
http://www.moonover.jp/bekkan/chorono/index-new.htm

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