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zoom RSS 飼い猫の起源は中国!(一部のみ) 中国さんも起源を主張し始めたぞ。

<<   作成日時 : 2016/01/30 00:10   >>

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ヘッドライン見ただけで半笑いになったの私だけですかね。
飼い犬の起源は中国! と発表したお次は猫ですよ、猫が来ましたよ。

Cats domesticated in China earlier than 3000 BC
http://www2.cnrs.fr/en/2691.htm

今から5000年以上前の中国で、独自に猫を飼い慣らしていた証拠があると言ってます。
全文は「PLUS ONE」に発表済みだよ! とのことなのでそっちも見てみます。

Earliest “domestic” cats in China identified as Leopard cat (Prionailurus bengalensis)
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0147295

読みながらなんかどっかで見たぞコレ、と思って探したら、これですかね。2013年の論文。これも中国人学者が出したやつ。

Earliest evidence for commensal processes of cat domestication
http://www.pnas.org/content/111/1/116


で、本題の、2015年のほうの論文の話です。

調査方法は、中国西部の住居跡の遺跡から出てきた猫の骨の形態で種類を調べるという方法で、ベンガルヤマネコを飼い慣らして飼育していたと言いたいようです。中東やエジプトで猫が広く飼育されはじめたのは作物を食べてしまうネズミを退治させるためだったというのが有力な説ですが、同じことは米作にも言えるだろうという主張のようです。(2013年の論文のほうでは、見つかった骨の持ち主は millet-based foods を食べていたと言ってるんだけどな^^; milletってキビじゃないの? なんで2016年の論文でriceに変わってんの??)

ただ…
私の英文読解能力の範囲内でも…これちょっと主張が厳しいんじゃないのかなぁ…。「中国起源!」と言いたいがための、結論ありきの研究のように見えます。

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まずツッコミどころとして、猫の骨の年齢や性別が出てきてないんですよ。
出せないんだと思います、状態のいい全身骨格が見つかってるわけではないから。

若い猫なら当然サイズは小さい。大人なら大きい。
オスかメスかでもサイズは異なる。前提条件が違えば比較の結果の解釈も異なる。そこ無視して顎のサイズで種の特定とかされてもなぁ。

あと「家畜化」されていたなら大体は子供の骨が出てきます。(人間の手元で繁殖できてないと家畜とは呼べない)逆に成長した大人の骨しか無いのなら、捕獲してきた野生動物の可能性が高い。全身骨格が見えないのでなんともいえませんが、食用としてヤマネコを捕らえてきてたケースだってあると思うんですよ。体のほうの骨に、人間の歯型が残ってたりしませんかねぇ…。

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家畜化 domestication という言葉を使うなら、その厳密な定義に従って欲しい。"家畜化"するのと、ただ"飼う"のはぜんぜん違うんです。墓からサイの骨が出てきたからって、サイを"家畜化"したとは思わないでしょ。ペットだったか儀式のために殺したかって判断するはずよね。
この論文だと、紀元前3000年頃の中国西部の村にヤマネコが"いた"ことしか分からない。



もうひとつツッコミどころとして、骨の見つかった状況が分からない。
キプロスの例では人間といっしょの墓に埋められていたので、家畜化まで行ってたかどうかはともかく、まぁペットにはしてたのかなって感じはしますが、この中国のヤマネコの骨が出てきた状況(発掘時の発見場所とかシチュエーション)が論文の中のどこにもないです。

墓が作られてたとかなら飼ってた可能性が出てくるけど、ゴミ捨て場から出てきたんなら食料だよね。



中国でも猫を飼い慣らす試みが行われてたかもしれない、って説自体は、別にあってもおかしくないと思います。同時に世界各地で色々やってみて、最終的に残ったのが一系統だけだった、ってことかもしれません。

ただ、この論文は、ちょっと怪しい感じです。

現在存在するイエネコの共通の祖先はリビアヤマネコということに結論づけられているので、そこに「中国起源」という事実をうまく組み込むために、中国でも独自に猫の家畜化は行われていたんだけど現在には残らなかったんだよ! という方向にしたんだろうなという臭いしかしません…。

穿った見方じゃねーかと言われそうですが、中国国籍の学者が関わって発表されるものには、基本的に、中国政府の意向に沿わないものは無いです。つーか発表できないです。そういう国です…。そして中国の大学単体で権威を持たせられないときは、外国の権威ある大学から教授を招いたり、共同研究したりするわけですね。今回もUKの大学が関わってます。
あと中国国内で管理している遺物が証拠になっていて、他国の学者には反証不可(中国政府が許可しなければ遺跡の調査も出来ない)というのもミソ。

今までの中国さんの「起源を主張したい論文」のパターンにバッチ嵌ってるんですよね。^^;
なんつーか、うーん。

起源を主張するのは国威発揚の国策の一つですから、このぶんだと、次は久々に北京原人持ち出して「中国人の祖先ははるか昔からこの地に住んでいたのだぁ!」とかやりだしそうな気もします。。。(笑)


****
余談ですが、エジプトの猫の骨は(多分)いまんとこ、6000年前の↓これが最古だと思います。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0305440314000636

日本語でのちょろっとした解説こちら

http://55096962.at.webry.info/201403/article_26.html

この論文は、家畜化されていたかどうかについて非常に慎重に考察しているので、めっちゃ参考になります。集落から骨出た! → 家畜化されてた! とか直ぐに飛びつく学者さんにはほんと見習ってほしい。

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