現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS 重い話も多いが意外とあっさり読める産婦人科あるある「透明なゆりかご」

<<   作成日時 : 2015/12/30 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

産婦人科で働く準看護師見習いが主人公の産院マンガ「透明なゆりかご」。
準看護師と看護師という区別があることを知らなかったので、そこはあとでググってふーんという感じだった。中卒でも成れて、すぐに働ける技術職なのね…。



(あまぞんでは紙の本は品切れっぽいのだが、kindle版ならすぐに読める。)

感動もののストーリーというよりは、わりとエグめの現実を淡々と見せてくる感じのマンガかな…。
主人公のメインの仕事の一つが中絶された新生児の処理だったりする。高校3年だと書かれているので17歳とか18歳あたりなわけで、その歳の子が毎日のように殺されていく子供たちを見続けるというのは、ある意味、少年兵が主人公のマンガと同じくらいヘビーである。

画像


画像


ただし、絵柄がのっぺりしていて淡々と語られるので、グロさなどは感じない。ブラよろのやたらと濃い主張の激しい絵が合わなかった私としては、このくらいの絵のほうがいい。というか、話の内容的にあんまりリアルな絵だとキツいかもしれない。

癒着胎盤剥離で出産時に大量出血してそのまま帰らぬ人となる妊婦の話しなど、病室も治療者も血まみれになっているはずなのに、絵が淡白なおかげでそこまでキツくない。全身麻酔の事故で脳死状態になってしまった人の話も、リアルだとやせ細ってパイプだらけになって正視できないような状態になっているのだろうけど、それをあまり感じさせない絵になっていた。

このマンガは人に紹介されたのだが、特に一定年齢以上の女性にウケがいいように思う。たぶん、その年頃になると内容が一部「身につまされる」からだろう。流産をきっかけにママ友と巧くいかなくなるとか、不妊治療は女性だけの問題のように考えていて非協力的な夫とか、子沢山な家庭でひょんなことからもう一人妊娠してしまったらダンナに「もういらないだろ」みたいに軽々しく言われて傷ついてしまったり。

たぶん女性は、思春期の頃から性教育などみっちり受けて、いずれくるその日のための心の準備をそれなりにしてくるのだろうし、妊娠すればいやがおうにも親になることを認識せざるを得ない。しかし男性は、子供が出来ても特に自分に変化が訪れるわけでもなく、自覚も覚悟も薄いことが多いのだと思う。うちの同僚にも、子供のうんちのついたおしめが汚いから変えられないという、なさけないパパがいる。「イザというとき男は役に立たない」ということを知って、女性は強く逞しくなっていくのだと思う(笑)



私が思い出したのは、ヤノマミ族の話である。

彼らには堕胎の技術はない。育てられない子供を妊娠したら、生んだ後「森に返す」。
つまり嬰児殺しである。人として迎え入れるか、精霊として森に返すかは母親だけが決められる。それは日本の中絶において本人(母親)の同意がなければ堕胎は認められないのと同じことだ。

ただしヤノマミの場合も日本の場合も、子供の運命を決める母親の決定は、実際は家族の意志に影響されている。自分のことだけを考える母親はいない。既に子供を何人も抱えている場合、その子たちのなかに更に一人加えて全員が生き残れるかを考える。未婚の母となる場合、自分の手で育てられるか、他の家族は協力してくれるかを考える。
かけ離れた二つの社会のどちらも同じだ。
命を宿した女の孤独。
自分で決めていると言いながら、本当は家族の意志を尊重せざるを得ない現実がある。

出産は時に命がけの人生の一大イベントなのに、どこの世界も、いつも時代も、女性に負荷の比重が偏りすぎだよなァ… などと、しみじみと思ってみたりする。



ただ、このマンガの内容は、おそらく実話というより色々盛って切り貼りした内容なんだろうと思う。

くわしく調べてはいないが、結局漫画を書いているということは、著者は看護師の道では生きていかなかったということだ。産院で働いていたのも、そう長い期間ではなかっただろう。その期間の間にドラマティックな事件がばんばん起きるとも思えないし、患者の「その後」を十年近く追うことも難しいと思う。おそらく、「結末はこうであって欲しいな」という願望も混じっているのだろう。

それでいいと思うのだ。誰も事実を求めているのではなく、産院のリアルを知って命とは何か、とかを考えたいだけなのだ。

しかしそれにしても、主人公の周りには10代で妊娠する知り合いが多すぎである。
知られていないだけで世の中とはそういうものなのか? たまたまこの病院のある地域がそういうところなのか? フィクションとして話を盛ってるのか?

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

重い話も多いが意外とあっさり読める産婦人科あるある「透明なゆりかご」 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる