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zoom RSS 人類の新種「ホモ・ナレディ」発見のニュースとそれに纏わる疑惑

<<   作成日時 : 2015/10/04 00:10   >>

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ニュースで取り上げられて以来、ソッチ系の好きな人の間では盛り上がりを見せていたっぽい「ホモ・ナレディ」発見のニュース。「ホモなレディ…腐女子のことか…!」ではなく、ホモは「ホモ・サピエンス」とかヒト属につくもの、ナレディは発見地の地元の言葉で「星」という意味だそうだ。つまり「星の人」。

眠りから覚めた謎の人類
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/15/091800009/092100001/

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ただ、この発見には、懐疑的な見方をする人もいる。「ピルトダウン人の再来ではないか?」と。
その疑惑が妥当かどうかはともかくとして、なぜ疑惑を抱かれたのか、ピルトダウン人とは何なのかについて軽く説明をしておきたい。

なお、超 重 要 なことなのだが、


 ホモ・ナレディの生きていた年代は現在のところ全く分かっていない


一緒に植物の化石が出てくるとか、特徴的な地層の上か下に埋まっているとかすれば予想がつくのだが、現在までのところ、そのような指標が全く見つかっていない。従って、ホモ・ナレディの生きた年代の推定は、なんと400万年前から、比較的最近の数十万年前まで広がっている。

400万年前なら、最古の母・ルーシーとして知られるアウストセラロピテクス・アファレンシスと同じくらいの時代に生きていたことになるが、数十万年前だと、つい最近まで現生人類とは大きく違う特徴をもつヒトの別種が地上に生存していたことになる。

つまり「最古のホモ族を発見した」などという報道は誤りということだ。この発見が意味するところはまだはっきりとは分からない。



というわけで少し話が逸れたがピルトダウン人の話に戻る。

ピルトダウン人事件とは、1912年にイングランド南部サセックスで"発見"された、人類の骨である。最初に発表されたのはイギリスの科学雑誌「ネイチャー」1912年12月5日の号。発見者はチャールズ・ドーソン。

この発見は、それまで人類の祖先が見つかっていなかったイギリスで、初めて発見されたものとされた。また、既に見つかっていた人類の祖先とは違い、"脳が大きかった"。ヒトとサルをつなぐミッシングリンクが見つかったのだと、学会は大騒ぎになる。だが――

捏造が発覚したのは、40年も経ってからの事だった。疑われるようになったキッカケは単純だ。その40年の間に見つかった、ほかの人類の祖先たちとピルトダウン人はあまりに違いすぎ、系統樹のどこにも当て嵌まらなかったのだ。捏造が決定的になったのは1953年の頭蓋骨と顎の年代測定だった。結果、人間のように見える頭蓋骨は正しく現代の人間のもので、顎は古いオラウータンの骨だった。ミッシング・リンクと思われた発見は、別々の年代のヒトとサルの骨を組み合わせただけのものだったのだ。


詳細はロンドン自然史博物館のサイト(http://www.nhm.ac.uk/our-science/departments-and-staff/library-and-archives/collections/piltdown-man.html)から辿っていくことができる。ピルトダウン人の骨を現在保管しているのがココだ。



さて、このピルトダウン事件と今回のホモ・ナレディの発見に共通するのは何だろうか。



まず発見の前段階となる「その発見が望まれていた」という状況。

1912年当時、まだイギリスでは人類の祖先の骨が発見されていなかった。ドイツにはネアンデルタール人が、フランスにはクロマニョン人の発見があった。イギリス人はそれらに対抗する発見がほしかった。
ピルトダウン人は、そんな状況下で「まさに望んだとおりに」発見されている。

ホモ・ナレディに関して言えば、人類の故郷は南アフリカか、東アフリカかという論争がある。現在ではルーシーの発見によって東アフリカで決着がついたかに見える状況だが、もしもホモ・ナレディがルーシーと同等かそれ以上に古いということになれば、南アフリカ説が復活するかもしれないのだ。ちなみに発見者のバーガーは何十年も南アフリカ説を推し続けてきた学者だということである。



次に発見者の特徴。ピルトダウン人の発見者ドーソンはアマチュア学者であり、対するホモ・ナレディの発見者バーガーは、人類の起源は南アフリカだと頑固に言い続けている学会では浮いた存在。


最後にホモ・ナレディが、ピルトダウン人同様に「ヒトの部分とサルの部分が不思議な結合をしている」ということ。ピルトダウン人はヒトとオラウータンの骨を加工して合体させたものだから、その両方の特徴を持っていた。ホモ・ナレディも今まで見つかったほかの人類の祖先とは異なる様態でヒトとサルの特徴を持っている。


これら三つの要素が合わさって、「また捏造が繰り返されているのではないか」と疑う人が出てきたのではないかと思う。書いていて私も、「これは確かに、一報を聞いただけでは疑いたくもなるな…」と思った。おそらく、初期の段階でバーガーがホモ・ナレディの年代をルーシーと同等の400万年前だとプッシュしすぎれば、その疑惑は大きくなっていただろう。だが、今のところホモ・ナレディの生きた年代として一番可能性が高そうなのは200万年前くらい、と考えられているようだ。つまりサルからヒトへ、アウストラロピテクスとホモ属が分岐するくらいの年代。それならば、両方の特徴を備えていてもおかしくはない。



そしてもう一つ、物議を醸しているのは、ホモ・ナレディの脳の小ささだ。

ホモ・ナレディは脳が小さく、頭はサルのようなまま、体のほうは人間らしくなっているというところだ。ここが議論になっているようで、手などは人間らしいのに頭は小さい。脳が小さいまま、道具を使っていたのだろうか?

また骨が一箇所から見つかっていることで、埋葬ではないにせよ、死んだ仲間を意図的に一箇所に集める行為(きわめて原始的な宗教概念の発芽のようなもの?)を行っていた可能性がある。脳が小さくても動物とは明確に違う行動をとっていたとすれば、人と動物を区別する境界線とは何か?

この「脳が小さい」のに「ヒト属である」というのに引っ掛かっている人も、結構いるようだった。

今でもイルカやクジラの保護団体が主張している「脳が大きいから賢いのだ」という概念は、19世紀のヨーロッパでは主流な説の一つでさえあった。脳の大きさは知能と比例すると考え、大マジメに「黒人の脳は白人の脳より小さい」と論じ、エジプトのミイラを解剖しては「脳が大きいので白人に違いない」などと言っていた時代だ。そんなものは迷信だと今なら言えるが、19世紀から続く幻想にいまだ囚われている人もいる。脳が小さいなら道具が使えるわけがない、宗教的概念も生まれるはずがない。なぜなら人は脳が大きいがゆえに知性的であり動物とは違うからなのだ… というのだ。



研究はまだ始まったばかりだ。
論争はこれからも続くだろうし、それとともに多くの事実が明らかにされていくに違いない。
もしかしたら、捏造ではないにしても、初期の勘違いが後から明るみに出ることもあるかもしれない。

しかしそれらは現場の学者さんたちにしか見つけられないことだ。外野にいる者はただ見守るしかない。
新しい大きな発見があった時は、決まって批判があり、疑惑をかけられる。それらを潜り抜けて真実は磨かれる。

最後に我々の目の前に現れるであろう、輝く星<ナレディ>に期待したい。




*****

前にも紹介したけど、ピルトダウン人ふくむ「捏造」の歴史についてはこの本がオススメ。分かりやすいし、「ああ、こうやって人は捏造に走る/だまされるんだなぁ…」というのが良く分かる。

日本の黒歴史、ゴッドハンドについても詳しく書かれていて(´・ω・`)ってなる。

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