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zoom RSS 「黄金のファラオと大ピラミッド展」に行って来た。展示品は一級品。黄金のマスクに過剰な期待はしないこと

<<   作成日時 : 2015/10/22 00:10   >>

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森アーツセンターギャラリーで開催中の「黄金のファラオと大ピラミッド展」にいってきたので感想とか。

画像


今回の展示内容、日本語タイトルではなぜか上記のようになっているが、英語タイトルは「The Golden Age of the Pyramids Builders exhibition」である。

 ピラミッド展 ではなく ピラミッドを造った人々展 なんである。

内容的には英語タイトルのほうが正しい。というか、ピラミッド本体よりピラミッドを造った人々に焦点を当てた展示をしているのに、なんで「builders」を削ったのかが良く分からん。展示の中盤はピラミッド建設に関わった人たちのポートレート(像など)の展示にスペースを裂いているのだから、そこ省略したらあかんとこやろ、と。

そう、今回の展示はファラオ成分は少なめ。どっちかというと、名も無き(もっとも、大半は像にばっちり名前刻んであるんで名前分かるんだけど…)一般庶民がメイン、である。

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[>公式
http://www.tbs.co.jp/pharaoh-egypt/
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古代エジプトの歴史の中で、ピラミッドが作られていたのは古王国時代から中王国時代まで。
その中でも第三王朝後半から第十三王朝までの間で、それ以降の時代にはごく小規模なピラミッド型の建造物しか作られていない。よって、展示の内容もピラミッドの作られていたこの時代に絞り込まれている。
一般に、遺物の出土数は時代が古くなるほど少なくなる。末期王朝時代>新王国時代>中王国時代>古王国時代 と出土物が減る中、古王国時代の名品をこんなに集めてきたイベントは、近年だとあまり記憶にない。図録なんかでよく見かけるやつの実物も来てたりして、ここまでの品が揃う展示会はなかなか開かれないのではないかと思う。その意味で、エジプトマニアはぜひ見に行っとけよ! という感じのイベントだ。


古王国時代の遺物は、新王国時代のものに比べると地味で質実剛健なイメージを受ける。人物の描写もガッチリとゴツい感じで、新王国時代のものほど服装や装飾品にこっていないし、カツラも地味で個人差はあまりない。しかし、美術様式や文字など後のエジプトの伝統の基礎が出揃う時代であり、地味ながらにしっかりと確立された品々の間からは、自分たちの文化に対する自信のようなものが滲み出ている。

中王国時代は若干の財政難、国際情勢などから一時的にレバント地方やシリア方面との接続が途切れていた時代もあり、なんとなく「所帯地味た」感の漂う品が多い。墓に入れる召使い像が家事をしているシーンなどがそう思わせるのかもしれない。木製品の質は概して良くないが、素朴なハンドメイドの味わいから古代の息吹を感じられる。

ばばーんと前面に押し出されている黄金のマスクのアメンエムハト王だけはちょっと時代離れてて第三中間期。
http://www.moonover.jp/bekkan/chorono/farao_mid3_04.htm

パパンのプスセンネス王のほうが有名なもんだから、この王様はだいぶ地味な扱いなんだけどね…。
ていうかね、このマスクはいっちゃん最後、出口の手前にあるんで。「あれーないなー」ってならないようにね。ほとんど人が立ち止まらずにスーッと出て行っちゃうんだけど、その理由はたぶん

 マスクがちょっとチャチい(ツタンカーメンと比べて)

からだと思うのね。金が薄くて端っこのほうめくれあがっちゃってるし…。

でもそれには訳がある。
アメンエムハトが在位してたあたりの時代のエジプトはぶっちゃけ財政難。植民地のヌビアから金がガッポガッポ入ってきてた時代とは違う。ツタンカーメンの時代のような豪華絢爛な副葬品など望むべくもなく、致し方なく過去の王たちの墓を暴いて副葬品をパチる始末だった。パパンのプスネンネス王の墓なんかがまさにその最たるもので、ラメセス2世やらイアフメスやら、有名どころの王様たちの名前が入ったままのものを転用している。

だから、もしかしたらアメンエムオペトの黄金のマスクも過去の王様や高官たちの財宝を鋳潰して作り直したものかもしれない。
輝石も惜しみなくはめ込んで作られた豪華なツタンカーメンのマスクと比べて、ただ「なんかショボいな」で終わるんじゃなく、時代が進んで国力の落ちたエジプトでは、王でさえ精一杯頑張ってこれだったのだ、と盛者必衰なんかに思いを馳せるといいんじゃないかな。

まあただ、過剰な期待はしないことだと思う。ツタンカーメン的なのを期待してしまうと、「これだけなの? 裏もなくてペラくない?」みたいな反応になっちゃうので…。


ちなみにオススメは、ピラミッドが作られていた時代に生きた人々の"顔"が見られる第三章会場。実際にピラミッド建造に関わったと思われる人々の像が並んでいる。背景にピラミッドの写真を貼って「わたしたちが 作りました。」というロゴとともに並べたくなる(笑) もちろん、像が残っているのは高官や貴族などエライ人だけで、その他一般庶民の像などは何も残っていないのだけれど…、ファラオだけじゃない、ピラミッドみたいなデカいもん作るのには、色んな人の協力が必要だったんやで。ということが分かればいい。

会場はかなりスペース広め、すいててゆっくり見られる感じだった。ただし行ったのが平日の昼間だったので、もしかしたら休日は混んでるのかもしれない。

会期は1/3まで。

上野でやってる「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」と一緒に行くとちょっとお安くなる。コンビニとかでセットチケットを買うもよし、半券を見せても安くなるらしいです。


******

と、全般的に楽しめたんだけど、二箇所ほど「??」っていうところがあった。

●スフィンクスの頭部

前のほうでスフィンクスについて解説してるところで、パネルに「スフィンクスの頭は別の石材で作ってくっつけられている」と書かれていたんだけど、なんじゃそりゃ。スフィンクスの頭の部分と胴体の部分の材質が違うのは確かだけど、ちょうどそこで地層が分かれてるからでしょ。頭だけ別の石で作ってくっつけたとか、なんでそんな意味不明な説明を…。

どうやら日本語のWikipediaにそう書かれてるらしいのだが、いや、そもそも継ぎ目ないんですけど? っていう話からまず…はじめないと…。

なんかググってみると日本語のページではちょこちょこヒットしているのだが、説としても聞いたことがないので、どこから出てきた話なのか、いつからあるのかは気になる。

[>続き「スフィンクスの頭部は別の石でできている」という謎の説の出所を探して


※12月に二回目いったらパネルごと書き換えられてました…(笑) 他にもあちこちのパネルに修正した跡があり、増えてるパネルもあったりして、一体何があったんだ状態。


●ピラミッド内部の空間

もう一つは、映像展示の中にあった、早稲田大の調査隊が大ピラミッド内部で未知の空間を発見した、って話。

これは前に調べてある。「モダンテクノロジーの考古学に於ける応用 -早稲田大学古代エジプト調査隊の例- <1993年/早稲田大学人間科学研究 第6巻 第一号 1993年>」に載ってる、1987年に行われた調査のことだろう。
しかし、この調査報告では「空間の内部に砂の反応がある」と言っているので、おそらく実体は、石積みの間にガレキや砂をつめて埋めた単なる隙間だろう。(表面に見えてるところはきちんと石をあわせているけど、ピラミッド内部には、実はけっこう石の隙間がある)

「空間」を見つけたことは確かだけど、元からピラミッド内部にはスキマがあるのだから、未知の部屋とか通路とかではないんだよね…。



吉村氏関連はもうツッコむのも面倒くさいので適当に(笑
吉村氏が監修と聞いて想定してたほど最悪な展示ではなかったので、見終わったあと胸を撫で下ろしましたことよ…。

あんだけ「第二の太陽の船は私が見つけた」って言ってたのに、今回の最後のパネル、「存在を確認した」に書き換わってたのは笑っちゃったな。いやそれで正しいんですけど。もうあと一歩踏み込んでみようか? ん? ってところ。確認したのも他の隊の後だよねぇ? とか。

図録の最初に書かれてる吉村作治氏のコラムは、ぺらっとめくった限り相変わらずピラミッドは墓じゃない的なことを言ってて、ピラミッドからは遺体は出てきてないと書いてるのも、まぁ、今更変えられないんだろうなっていう生暖かい気持ち。

最近よくテレビに出てる某先生とかは「ピラミッド墓ですよ。」って言ってて、昔からテレビに出てる吉村氏とかは「墓だという証拠はない。」って言ってて、見てるほうは面白いんだけどエジプト考古学会とかいう狭い世界で内部いったいどうなってんだってちょっと思う。

…まぁ、ヴォクはなんも関係ない独立独歩な 一般人 なので、触らずに遠くからソッと見守っておきますね。HAHAHA!

(ちなみに、うちのスタンスはこうなってます)

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