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zoom RSS 物々交換時代の代理通貨で古代世界を考えてみる

<<   作成日時 : 2015/08/08 00:10   >>

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ぼちぼち二周目行ってるこれ。急にまた忙しくなって全然進めてないよママン。
とりあえず気になったとこいっときましょ。

起源―古代オリエント文明:西欧近代生活の背景
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この本の中の「資本の形成」という章で、資本経済の起源としてのシュメールの交易とか出ているのだが、そこで「資本」となりうる商品のリストが面白い。

市場経済の中で硬貨自体が使われ始めるのは前7世紀くらい。
それ以前は物々交換なのだが、何を物々交換してたかというと、こんな感じらしい。→「羊毛、ナツメヤシ、魚油、干物や燻製の魚類、獣皮など」そして「穀類(大麦や小麦類)は格別であった」。

全ての物の価値は基本的に穀物が基準だったという話も出てきており、それは江戸時代以前の日本で、財産が「米」で換算されていたのと事情は同じだろう。(大名の財力が「xx石」と表現されるなど)

またエジプトでも、財産の基準が穀物で、報酬や給料が穀物で支払われたという例は会計記録などに沢山出てくる。

だがシュメールの場合に面白いのは、そうした「穀物至上主義」のタテマエとは裏腹に、既に貨幣の先駆けともいうべき「銀」という媒体が使われていたらしいことである。

"銀は他の「交換可能な商品」のどれよりも耐久性があり、しかも恒常的な需要があるばかりでなく、重量単位ごとの価値が高かったので、個人的に持ち運びし易いという利点も兼ね備えていた。理屈で言えば黄金だってそれに当て嵌まるわけであるが、黄金は銀の七倍から十倍もの価値があったので、この「あまりにも貴重」だったことがかえって個人が持ち運ぶには支障となったのである。中期バビロニア時代以降になって、やっと黄金も「お金」として使用されるようになる。"


続く部分で、「身につけて持ちはこびできるように銀を装飾品の形にして旅行などに持っていった」という例も挙げられている。まあ旅行に行くのに大量の麦持っていくわけにもいかないし、手形だけで賄えない部分もあっただろうし、ナルホドという感じだ。で、その代理通貨としての銀の装飾品のだいたいの重量が決まっていて、大量生産されていた形跡もあることから「貨幣が誕生するさきがけではないか」という説に繋がっているわけである。


以前書いた以下のエントリでは、私は「エジプトの腕輪って代理通貨ちゃうん?」説を思いつきで勝手に唱えてみたが、意外とこれ当たってたりすんのかなって。

http://55096962.at.webry.info/201105/article_36.html

このエントリに挙げた壁画にある、王様のご褒美に金のわっかいっぱいもらったよわーい! のシーンなんかは、その大量生産されている金のわっか自体が、シュメールでいうところの銀の腕輪のような代理通貨の役割を果たしていたんじゃないかという気がする。



画像





ただし、これは「金」だ。エジプトだとそもそも銀の装飾品というのがあんまり出てこない。(皆無ではない)

メソポタミアでは、金も銀も産出しない。よってどちらも輸入になるわけで、価値は金>銀だったのだろう。しかしエジプトだと、金はふんだんに採れるのに銀が採れない。価値は同じように金>銀だったのかもしれないが、そもそも銀があんまり入ってこないので、たぶん「金は価値が高すぎて使いにくいから銀」というメソポタミア的考え方は至らなかったのではないだろうか。にしても、金の腕輪なんて、そのままではなかなか使えなかったと思うんだけどね…。ちょっと宿に泊まるとか、昼メシ食いに行くとかいう時の小銭的なものは一体どうしてたんだろう。

エジプトの経済事情は昔から良く分からない。
基本的にはシュメールの場合と同じように、穀物を中心として、干し魚やナツメヤシなんかを財産として物々交換していたのだろうが、腐らない/持ち運びが楽/汎用的に使える という代理通貨の役割にマッチングする商品例がちょっと少なすぎる。そもそも、基本が地産地消で、ほとんど"商売"に該当する行為を行っていなかったのではないかとすら思う。



ちなみに、ちょっと地域は離れるが最近読み返していた本でヴァイキングの物々交換事例では、代理通貨として様々な例が挙げられている。

"銀は決済手段としてもっとも便利ではあったが、お金の役割を果たすさまざまな商品のひとつだったにすぎない。このような役割をする商品(品物)を貨幣商品という。北欧人(もっとさかのぼればゲルマン人)の代表的な貨幣商品は家畜(牡牛、牡馬、羊)だった。"

"アイスランドの場合、仕上げをされていない毛織物(ヴァズマル)がもっとも重要な貨幣商品であった。"


ー「ヴァイキングの経済学」山川出版社

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北欧は作物があんまり作れなくて酪農や漁業メインなんで、家畜が財産っていうのはまぁ分かる。そして銀。毛織物が出てくるあたりは、シュメールでいう「羊毛」に対応するのだろう。裁断していない無色の毛織物は、誰でも使える汎用的な通貨だったのだとこの本の中では述べられている。

もし沢山の人が集まる市場のような経済が社会の中に存在したのなら、なんかそういう、庶民でも使いやすい通貨の基準となる商品は絶対あったはずだと思うんだ。金額の大きくて使いづらい金の腕輪と、かさばる麦だけでやってけるとは思わないもん。古代エジプト人まじどーしてたんだろうか…。

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