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zoom RSS エジプトだけどメソポタミア神話! 「ネルガルとエレシュキガル」を読んでみよう

<<   作成日時 : 2015/06/10 00:10   >>

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新アッシリア語で書かれた神話に「ネルガルとエルシュキガル(NERGAL AND ERESHKIGAL)」というものがある。
冥界の女王エレシュキガルが戦いの神でもあるネルガルを夫として迎え入れるという神話なのだが、じつはこれ、エジプト神話でもある。

なんでかというと、アマルナ文書の中に入ってたからだ。

アマルナ文書とは、ツタンカーメンのパパン、アクエンアテンが作った都エル・アマルナの遺跡から出てきた粘土板群のことで、当然ながら楔形文字で書かれている。アクエンアテンの死後、都が完全放棄されたことにより、いい状態で文書が多数残された文書群だ。メインは外交文書なのだが、一部にメソポタミアからもたらされた神話が書かれたものもある。これはそのうちの一つ。

新アッシリア時代はざっくり紀元前1000年頃から400年間くらいで、アマルナ時代は紀元前1400年頃。つまりメソポタミアに残ってるものよりエジプトのもののほうが400年くらい古いのだ。

両者は全く同じではなく、アマルナVerのほうがややストーリーが単純化されている。いわばダイジェスト版のようなものだろうか。しかし興味深いことに、両者はほぼ補完の関係にある。新アッシリア語Verで欠けているシーンは、アマルナVerで埋められるのだ。

そんなわけで、この神話は、欠損もありつつ、ラストシーンを除く、だいたいのストーリーが判っている。
では、本題のストーリーを簡単におさらいしてみよう。


*****

事の発端は、天の神アヌが宴席をもうけたことだった。

天の世界での宴会なので、地下の冥界をおさめる女王エレシュキガルは出席できない。そこでアヌはカカという神を冥界に遣わし、宴会のご馳走をおすそ分けするから使者を代理で出席させるように伝えさせる。エレシュキガルは、ナムタルという神を自分の代理として天界に遣わせる。

だがナムタルが天界に赴いたとき、ひとりだけ立ち上がらなかった神がいた。(それがネルガルだが、ここではまだ名前がわからない。) 冥界に戻ったナムタルからそのことを告げられたイシュタルは激怒し、その無礼者を連れて来いという。ナムタルは戻ってその神を探すが、ネルガルは姿を隠していて見つからない。

しかしエレシュキガルは諦めない。逃げられないと判ったネルガルは父エアに護衛を与えられて冥界に下ってゆく。冥界へ赴く前に、彼は父から忠告を受けていた。「玉座に座ってはならない」「パンや肉、ビールを口にしてはならない」「足を洗う水が出てきても足を洗ってはならない」「エレシュキガルの誘惑に乗ってはいけない」。

かくてネルガルは冥界の門の前に立つ。それを見たナムタルは、エレシュキガルに、以前無礼をはたらいた神がやってきたことを告げる。エレシュキガルは、その神を招きいれ、冥界の食べ物を食べさせるように指示する。だが、あらかじめ警告を受けているネルガルは、椅子に座らず、冥界の食べ物を口にせず、足も洗わない。

一方エレシュキガルは、何故か客の目の前で湯浴みに立ち、わざと身体を見せながら衣を着る。
ネルガルは、父の最後の忠告を忘れた。
つまり男女のするしぐさ(意味深)をしたのである。

こうして七日ほど交わったあと、ネルガルはエルシュキガルをベッドに残して颯爽と逃亡する。
冥界は一度入ったら二度と戻れぬ世界だったのだが、うんまぁあれだな、冥界の女王が力尽きてた(意味深)ので逃げられたらしい。

天界に戻ったネルガルは、エルシュキガルから逃れるため、エアに水を振りかけてもらい、はげ頭の身体の不自由な姿に変身する。(ちなみにエアは水と知恵の神だ)

一方で、エレシュキガルはネルガルとの激しい夜が忘れられず、「彼の精力を味わいつくさないうちに失ってしまった…」と嘆いている。(意味s いや深くねぇなまんまだな)
それを見たナムタルは、再び地上へ赴いて、ネルガルを捕まえてくることを誓う。エレシュキガルは言う、もし天の神々がネルガルを再び冥界へ寄越さないのなら、冥界にとらえた死者たちを解放してしまうと。

アヌ、エンリル、エアの御三家な神々の前にやってきたナムタルは、女主人の伝言を告げる。しかし一回目はみすぼらしい姿に変身しているネルガルを見つけることができない。エレシュキガルがネルガルの変身を見破って、二回目にようやくネルガルを見つけ出して冥界に連れて行く。

だが今回はネルガルも本気なので、いろいろ武装していく。冥界の門をくぐるとき、七つの門の門番たちを屈服させながら下ってゆく。最後に冥界の女王エレシュキガルのもとへたどり着き、彼女の髪を掴んで玉座から引き摺り下ろすと、女王は涙ながらにネルガルに懇願する。

  「私を殺さないで…どうか私の夫になって、この世界を治めて」

それを聞くや、ネルガルはエレシュキガルを抱きしめ、口付けしてこう言った。

  「それがお前の望みだったのか、何ヶ月も経ったが、望みは実現するだろう」

かくて二人は心行くまで激しい思いを交わすことになったのである。
めでたしめでたし。

*****


 と て も

 え ろ い



…いや、これは学術的なお話である。

繰り返す。これは学術的な話である。

決して「強い女を孕ませる系」とかではない。 決して



ちなみにネルガルがエレシュキガルにDVを働き、エレシュキガルが「それでもいいの…お願い、抱いて!」と言い出すあたりは新アッシリア語版では欠損しているのでアマルナ語版からの補足となっている。いやーこれ読んでアマルナの王宮の人たちは何を思ったんだろうか…。

この事例から判ることは、

・「ネルガルとエレシュキガル」の神話は紀元前1400年より古く、話のディティールは後の新アッシリアの時代まで引き継がれていた
・アマルナ時代のエジプト人はメソポタミアの有名な神話はある程度知っていた
・逆にメソポタミアにエジプトの神話が伝わっていた可能性もある

メソポタミアとエジプトの中間にあるシリアあたりの神話が、両者を混ぜたような感じになってるのは、さもありなんという感じである。


とういうわけで、どこのエロゲだよみたいなストーリーのこの神話は、メソポタミア地域とエジプトの文化交流を証明する一つの貴重な資料となっている。とか真面目な顔で言っとけば、エレシュキガルがドSと見せかけてじつはドMなのかとかなんとか考えてても表向きは学術的に考察してるみたいに見えるから大丈夫だと思うよ。(何がだ


*****

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