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zoom RSS 古代エジプト埋葬布がオークションで5千万… 果たしてこれは本物なのか。

<<   作成日時 : 2015/06/22 00:10   >>

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専門家を名乗る人にもピンキリがあることを知っているので、納得できないものには積極的に食らいついていくスタイル。
これ…近代のおみやげ品じゃないのけ…?

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元ソースこれ

大珍品の古代エジプト埋葬布、5000万円超で落札
http://www.afpbb.com/articles/-/3052153?page=2

例によってAFPなのでまた間違ってるんじゃねーかと思ったけど英語版からの訳が間違ってるとかではないようだ。
ググるともうちょっと詳しい記事(動画つき)のものもあった。

3,500-year-old Egyptian canvas on display in Paris
http://english.cntv.cn/2015/05/07/VIDE1430929441448193.shtml

こちらがオークションページの詳細データ

The Ta-nedjem linen square.
http://www.kunicki.eu/Kunickiexpertise_UK/PIASA-18-June-2015.html


紀元前1400年のもの、ということで約3500年前と言っている。見た目、3500年前のものにしちゃーえらい新しい。うーん、今までこんな白い埋葬布見たことない。でもって絵が見覚えない雰囲気だ…。

専門家でもなんでもないし写真しかないのでどうにも出来ないが、納得がいかなかったのでちょろっと調べてみた、。紀元前1400年なら新王国時代(第18王朝)ということで、他の博物館で同じくらいの時代の彩色のされた埋葬布を出すよ。どん。


Painted votive cloth

From Deir el-Bahari, Thebes, Egypt
19th Dynasty, about 1250 BC

http://www.britishmuseum.org/explore/highlights/highlight_objects/aes/p/painted_votive_cloth.aspx


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この布は神殿に奉納された祈願の布だという。右側に顔を出してる牛がハトホル女神様。人間に運命を与える女神でもあるハトホルに、「よき運命を授けてください」と祈る布で、もともと縁には房飾りがついていた跡があるという。
このインクの滲み方、退色の仕方を見てから、さきのタ・ネジェムの布を見ると、違和感がさらに強まる。

もう一つ、同じくらいの時代の布。


Funerary cloth of Isetnefret

From Egypt
New Kingdom, 1300-1070 BC

http://www.britishmuseum.org/explore/highlights/highlight_objects/aes/f/funerary_cloth_of_isetnefret.aspx

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モチーフとしてはこちらのほうがタ・ネジェムの布近い。同じような黒い椅子もある。そして、これはまさに埋葬の際に使われた布で、胸の上に置かれたものだという。椅子に座った故人に、家族が清めの水をふりかけている。

古代エジプトの亜麻布は、色をつけない無地のものが基本だが、新王国時代くらいになるとアジア系の人々がたくさん移住してくるようになり、その影響を受けて彩色が施されるようになったという。なので、彩色のされた埋葬布は、新王国時代以降に特有のものだ。その意味で、オークションの布が本物だとすれば、「紀元前1400年」という見立てはおかしくない。

ただ、絵のモチーフが謎だ。埋葬布で、故人を描いているのなら、その故人に対して捧げものをする家族が描かれていないのは何故だ。故人単品で描かれてるのはあんまり見た覚えない。家族がいなかったのか、右側が切れているのか。

絵の描き方も違和感がある。布に絵を描くときは紙と違ってどうしても線がブレるはずなのに、オークションの布にはブレがない。滲んだ跡もなくてやたらと小奇麗だ。布に描かれた絵は壁画などと違ってきっちり下書きできないからどうしても多少プロポーションがズレるはずだ。

輪郭線がないのもおかしい気がする。輪郭を描いてから色を塗るから、ほかの彩色布の人間は肌色の外側に濃い色の輪郭が見えてるのに、この絵にはそれがない。


あと、こんな資料もあった。

"亜麻布の糸の原料となる亜麻は、トゥーム・チャペルのレリーフや壁画で描かれた農作業の場面に、たびたび登場している。収穫は根こそぎ引き抜き、その後に種を取り出すが、最高級の繊維を得る際には、種が熟す前に収穫した。次に、茎を水に浸し、繊維をまとめているペクチンという成分を取り除かなくてはならない。ペクチンがほぼすべて溶け出したら、茎を叩いて、木のように硬い芯をつぶし、最後に繊維を梳(す)いて取り出した。糸を紡ぎ出す作業は、今日の方法とはずいぶん異なっている。まず、繊維どうしの端と端を撚(よ)って、粗糸を作る。繊維には若干ペクチンが残っているので、撚った部分はしっかりとつながる。もしかすると、古代の亜麻布が黄色く変色するのも、ペクチンのせいかもしれない。"

「大英博物館 図説古代エジプト誌」原書房



「古代の亜麻布が黄色く変色するのは」という部分に注目だ。エジプトの古い亜麻布ってだいたい、茶色というか黄ばんでるというか、なんか独特の色なんだけど、あれ成分のせいかもしれないんだなーと。ていうか逆に言うと、その独特の黄ばんだ色になってないとダメなんじゃないか? この布、白すぎると思うんだけど…。


書かれている文字や、使用されている顔料、布の織りかたについては知識がないのではっきりとは言えない。だが、少なくとも絵の部分の描き方にはなんだかものすごく違和感を覚える。これ本当に本物の3500年前の埋葬布でいいの? たとえオークションハウスに本物ですと胸を張られても、自分だったら、これに五千万は出せないなぁ…。

あらためて鑑定しなおしてほしいけど、個人のコレクターが購入してた場合、再鑑定されて結果が世の中に知らされることは多分無く、このまま闇に葬り去られる可能性もありそうですごくもにゅもにゅする気分。果たしてこの布は本当に本物なのか。

まぁ…買った人が満足したなら…いいんだろうけどねー…

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