現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS ローマ「ウザいパルティア黙らせたらササン朝とかいう裏ボス出てきたww」 歴史は繰り返される…

<<   作成日時 : 2015/04/03 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

前から気になってたけど図書館で借りられなくてそのままになってたのを本屋でうっかり見つけてしまい(以下いつもの) というわけで読んでみた「ローマとパルティア」。

ローマとパルティア: 二大帝国の激突三百年史
白水社
ローズ マリー シェルドン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ローマとパルティア: 二大帝国の激突三百年史 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


硬派な歴史本なんで、このあたりの時代/地域好きな人にはオススメ。
アル●ラー●戦記だけに興味ある人だと微妙かもしれない、ローマとパルティア半々に出てくるので。そして後述するように真の主役はアルメニアさんだ。

まずパルティアって何? という人のために説明しておくと、ペルシアより前にイラクあたり(いわゆるメソポタミア)に栄えた国のことだ。
わかんなくても、この本の訳者あとがき部分で親切に説明してくれてるので問題ないが、いちおう要約すると――


・前7世紀後半 アッシリアが衰退し、新バビロニアが台頭

・前6世紀後半 アケメネス朝ペルシア勃興、エジプトさん逃げてー!!

          〜エジプトが二度のペルシア支配にすったもんだしている頃、マケドニアが勃興
          〜アレクサンドロスによりアケメネス朝滅亡

・前323年    アレクサンドロス死去、後継者たちによる占領地分割
          (ディアドコイ戦争)
          元ペルシア領の大半はセレウコス朝ペルシアとなる
          エジプトはプトレマイオス朝に突入

・前3世紀半ば セレウコス朝の領土をイランから来たパルティアが侵食
          アルケサス朝パルティア誕生

・前1世紀半ば以降
         ローマ、パルティア双方の国土が拡大した結果、
         国土が隣接するようになったため敵対。
         この本に書かれている三百年ほどの戦いの期間に突入。

         〜紀元後に入ってすぐエジプトはローマ属州に(´・ω・`)チクショウ

・後3世紀前半 パルティア滅亡、ササン朝ペルシア台頭



というわけで、「メソポタミア文明」の流れの上にある、シュメールだバビロニアだアッシリアだの後にくる国の名前で、「ペルシア」というときに無意識に含まれてしまってる一部が「パルティア」なんだと思っとけばだいたいOK。元はイラン高原から来てるので民族的にはアケメネス朝やササン朝とたぶん同系列。騎馬民族で、パルティアン・ショットの名で、馬上からの弓の射撃がよく知られている。

このパルティアとローマの三百年に渡るいがみ合いが主題なんだけど、影の主役はアルメニア。
なんといっても、位置が絶妙なんである…

画像


二大帝国の間にぴったり挟まってるからな


主人公はパルティアとローマなんだけど、ヒロインはアルメニアさん。「やめて!! 私のために争わないで!」状態。

いやさ前から思ってたけどさ、アルメニアほんと、いい位置に建国しすぎだろ…。歴史書で絶対に主役にはなれないけど必ず舞台には出続けられる脇役みたいなさ。ロシアが南下してきてもここ入るしさ。

パルティアとローマの戦争の大半の理由が「どっちがアルメニアちゃんを嫁にするか」だったのは、ある意味自然な成り行きである。自国で王を選べなくて、どっちかの帝国が推してくる王をつけるしかなく、どっちの属国になるかその時の力関係で勝手に決められるアルメニアさんが不憫…。これ当時のアルメニア人どう思ってたんだろうか。ちょっとこの時代のアルメニア主人公にした本も読んでみたいぞ。

ローマは領土拡大主義で従わない奴はキライ、同等な奴も許さない、なので、アルメニアは当然自分とこの属国だと思っている。なのでアルメニアと親しくしてるパルティアを叩かずにはいられない。アルメニアまでで手を止めとけばいいのに、パルティア本土にも侵略をしかけていく。

その試みは何度目かに成功し、結果パルティアは滅ぼされてしまうのだが、メソポタミアなんて遠いところを支配するには兵力も財力も足りず、反発をくらったり疫病が流行ったりで結局支配できない。そして手をこまねいているうちに、ローマにとって後々厄介な敵ともなる、パルティアを越える強敵・ササン朝(サーサーン朝)ペルシアの台頭を許してしまう。


結論として、ローマは欲を出して余計なことをやりすぎたんである。
著者はこれをアメリカによるフセイン討伐と比較している。フセインを打倒したことによってシーア派というより厄介な強敵を生んだとしているが、現在ならばそれはISISだろう。イラクでフセインを、シリアでアサド政権を叩いたことにより、強権の緩んだ隙間には過激な原理主義者がはびこってしまった。「戦争仕掛けるなら戦後処理はちゃんと考えとけや」というのが著者のツッコミである。至極最もな意見だと思う。

ローマには個々の戦場での戦略はあったが、戦後処理まで含めた俯瞰的な大戦略は存在しなかった。
そして、敵を見くびり、不十分な諜報をもとに開戦したことで、大きな負債を抱えることになった。
現代と古代の戦争が全く同じなわけではないが、これらローマの失敗には、確かに近代のアメリカと重なるところもある。

歴史に学ぶとはこういうことなんだろうな、と思えた一冊だった。



******

余談になるが、ISISが遺跡や遺物を打ち壊したり人を残虐に処刑したりしている映像を見て、「何て酷い、過去にこんなことをやった連中はいなかった」などと思えた人は幸せ者であり、愚か者である。

残念ながら、過去に同様のことをやった国・民族・集団は枚挙に暇が無い。
ていうか、義務教育で廃仏毀釈を習ったときに寝てたんでなければ、日本でも似たようなことがあったのは知っているはずだ。単に規模が違うに過ぎない。

歴史は繰り返しである。「過去に例の無い出来事」なんてものは、よっぽどのことがない限り起こり得ない。空前絶後の天変地異でさえ、歴史のどっかでは既に起こっている。ただ現代人が忘れているだけだ。そして、ひとたび起こったあとに思い出すのだ。

だから歴史を学ぶ意味の一つは、「終わってしまってから気がつく」のではなく、「今起きていることを過去の出来事の学習によって正しく理解する」ところにあると思う。すべての過去は現在に繋がっている。歴史は、ただの知識でも年号の羅列でもない。過去を知ることでよりよい未来を作れる可能性を拓く道具なのだと考えたい。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ローマ「ウザいパルティア黙らせたらササン朝とかいう裏ボス出てきたww」 歴史は繰り返される… 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる