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zoom RSS メソポタミア(シュメール)のビール作り …これビールじゃなくて麦焼酎じゃね?

<<   作成日時 : 2015/04/02 00:10   >>

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*4/5 掲示板に指摘あったので微妙に書き直しました。
 密造酒はご禁制の都合上、酒の詳しい作り方なんて世の中にそう転がってるものじゃなし、よくわからん部分もあります(´・ω・`)

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去年の年末に行った、公開シンポジウム「ワインとビールの物語」で気になったところを調べなおしてみた。

※参加後の感想&メモはこちら

気になっていたのは上記講演内の「B楔形文字文書にみるメソポタミアのビールとワイン」の部分。

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メソポタミアの と書かれているが、厳密にはシュメールの、だと思う。メソポタミアでも、エジプト同様に紀元前3000年あたりからビール作りが開始されている。だが、その製法がエジプトの製法とだいぶ違うんだ…。

(参考までにエジプトのビール製法についての最新研究はこんな感じ。)

その気になった部分について、当日会場で配布されたレジュメをスキャンしてみた。
特殊文字が出ないんで転記できないんだ、ちょい見づらいけど許して(´・ω・`)

画像


まず引っ掛かっていたこと。いったん滓(?)にしたものをもう一度発酵させるという工程の存在。
アルコール度数を高めるための追発酵をしている理由は何だろう…?

で、途中で水を入れるということは、元々のアルコール濃度が高かったということにならないだろうか。
ということは、これもしかしてビールの製法じゃないんじゃないかという気がした。


麦だけから酒を作ろうとすると、糖分の比率などの都合上、発酵の継続が難しくて、なかなかアルコール濃度が上がらない。それはエジプトのビール作りの研究で既に知られていて、だからこそアルコール濃度を上げるための手法としてサワードウを使ったのではないかという新説が出てきた。

なのにメソポタミアでは、せっかく上がったはずのアルコール度数を下げるような「水に溶かす」という行程が入ってくるのだとしたら… それはビール作りじゃなくウィスキーとか麦焼酎とかを作るときの工程だと思うんだ。(※)もちろん、製法に不明な点が多いので、「水に溶く」と書かれている部分が果たして本当に薄めるという意味かどうかは分からないのだが…。

※ここの部分は、私がそこまで酒造りに詳しくないので間違えているかもしれない。
アルコール度数を上げるための「追発酵」という方法があるようなので、いったん発酵を止めたものに水を加えて発酵を再開させるなどして、結果としてアルコール度数を高めている…のかもしれない。



原液→種→追加発酵(&蒸留?)という工程を見た時、去年とある場所で見学させてもらった麦焼酎工場の製造工程が真っ先に頭に浮かんだ。日本の麦焼酎は、焦がした麦芽だけでは発酵が弱いのでイモも入れる。で作られた原液を蒸留して、出てきたものを水で薄めるなどしてアルコール度数の調整を行ってから出荷している。

エジプトのビール作りでは発酵を促すために糖分の多いナツメヤシの果汁を入れるなどしていたわけだが、シュメールのビール作りでもそれはやってたんだろうと思う。で、入れる量とか種類とかを変えると、出来上がってくる酒の風味や色は変化する。

シュメールのビールには、「黒いビール」とか「甘いビール」とか「黄金のビール」とか、実に様々な種類があったという。その違いは、まさに焼酎を作るときにタネにする発酵促進剤の違いや比率に因るものではないかと思う。エジプトのビールにも種類はあったようだが、蒸留の工程はなさそうなのでビールと呼んでいい。蒸留の工程らしきものが入っているシュメールは… 普通はビールを蒸留するとウィスキーなんだけど… なんていうかやっぱ「麦焼酎」じゃないのかなあ、という気がする。



ちなみにこれは、とりあえずこのへん↓を読んでみての感想でもある。

Sumerian Beer: The Origins of Brewing Technology in Ancient Mesopotamia
http://cdli.ucla.edu/pubs/cdlj/2012/cdlj2012_002.html

難しい部分は分からなくてすっ飛ばしたのだが、分かるところだけ理解した限りだと、麦焼酎の製造工程のように見える。

上記のドキュメントには、シュメールのビール作りの行程がどういった資料から再現されているのかという根拠もしっかり書かれている。だが、その内容のあまりの少なさはちょっと衝撃的だった。行政文書や神話、あとニンカシュという酒造りの女神に捧げる賛歌などしかない。

行政文書にはビールの種類くらいしか書かれていないし、神話や賛歌だとどこまで現実に即したビール作り工程が書かれているかは疑問。そりゃよーわからんことになるわなーという感じだ。あとは考古学的な資料として、ビール壷の中に残った残滓などの解析に頼るしかない。

このへんの事情はエジプトでも大して変わらないはずだが、やはりメソポタミアでは製造工程の絵がないというのが一番大きい。エジプト人みたいに墓の中に生前の行動描いたりしないからなあ…。言葉としては分かっている「diga」やら「imgaga」やらいうのがどういうモノなのか見た目が分かれば、製造工程ももうちょっとはっきりするんだろうなと思う。

ちなみに、レジュメでは「ビール種」→bappir、「麦芽」→munu、「ビール原汁」→sumun、「その滓」→titab、ビール種→dida、と書かれているが、ドキュメント中に出てくるシュメールのビール作りの女神ニンカシに捧げた賛歌では、titabは「葦のマットの上で調理された」と書かれている。マットの上に広げて処理するのならビール滓ではなく、日本酒や焼酎で言うところの「麴(こうじ)」という可能性はないだろうか。で、次に出てくるdidaが原液なんじゃないかと。同じ原液でも蒸留の仕方変えると別の酒になるんだよなあ。


もいっこ気になっていたのが、シュメールではビールを飲むときに器にストローを刺すけど、エジプトでは刺さないこと。これは、ビールの表面に浮いてくる滓を避けるためにそうしている、と通常は説明されている。単に習慣の違いと言えばそれまでなのだが、滓が浮いてくるなら飲む前に濾し取ればいいだけの話だ。それもしないほどシュメール人がめんどくさがりやさんだったのかという話だが、酵母が生きていて発酵し続けている状態のまま飲んでいたとするとどうだろう? 発酵が続いているので、濾しても濾しても上面に滓が浮いてくる。…ので、濾して飲むことが出来ないからストローで直接飲んでる、とか。

麦だけで発酵させると、酵母はすぐ死んでしまう。発酵が早く終わってしまうのでアルコール度数が上げにくい。
でも作っていたものが麦焼酎で、アルコール度数を上げやすい豆やナツメヤシやイモ類を沢山使っていたなら、出荷してからも発酵が続く状況があり得るのでは…?


さらにもいっこ気になっていたのが、シュメールにはニンカシ女神がいるのにエジプトにはビール作りの神がいないってこと。これはエジプト側のビール生産が、早くから人間管理の行き届いた大量生産可能なライン工的な方法になっていたためではないかと思った。サワードウを使うなどして生産品の成分を均一化出来ていたなら、そこに神の意思が介在する必然性はない。が、焼酎生産のイメージで、酒蔵つきの天然酵母を使って生産していたなら、偶然うまい酒が出来ることもあればマズい酒になることもあったりするはずで、そりゃー神棚に酒造りの神様を祀りたくもなるんじゃないかなあ。



というわけで、(大した証拠もないんだけど) 現段階の俺仮説として、メソポタミアとエジプトでビールの製法が違っていたんではなく、 そもそも作ろうとしていた酒の種類が違っていた と考えることにする。

エジプトのはビール。
メソポタミア(シュメール)のは麦焼酎。

これをマジメに論証しようとすると結構な労力と時間がかかりそうで、資料も全然足りないのだが、とりあえず思いつきメモってことで。そこまで酒に人生をかけるほど好きでは無い、というか中の人体質的にビール飲めないので! 今日は、こ、この辺で…!



<追記分>

あとでもうちょっと調べてみた。
「古代オリエント事典」(東洋書林)によると

最も安価なビールは水で薄められたものであり、発酵させたナツメヤシの液で造ったアルコール類もビールと呼ばれた。

と書いてあり、「ちょっ」ってなった。
水で薄める工程あるのは安酒なのかっ。
あと蒸留酒もビールって呼ぶ可能性ありそうねーやっぱり。どうやら蒸留の装置はメソポタミアで見つかっているものが最古らしい。

というわけで、推測した内容はだいたいあってるような気がした。メソポタミアでいう「ビール」は現代基準でのビールじゃないものも含んでいそうだ。

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