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zoom RSS 古代エジプトのポリオの"壁画"? →石碑でした

<<   作成日時 : 2015/04/21 00:10   >>

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なんとなくだらだらと記事を読んでいたらこんなの見つけた。

世界は、なぜポリオ根絶を目指すのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150419-00066945-toyo-int
ポリオと人類の歴史はとても古く、古代エジプトの壁画にも、片足が麻痺し、杖を持っている人の姿が描かれています。それは、悲劇の少年王として名高い、あのツタンカーメンが生きた時代のこと。紀元前1403年から紀元前1365年頃のことです。


ポリオとは小児麻痺のこと。エジプトのミイラでポリオが疑われる例は幾つかあった(その中にはファラオのミイラも含まれる)が、壁画…壁画? しらんぞ? なんのこっちゃ。

私が知らないことをエジプトに興味ない一般人が知っているのはガマンなりません(キリッ
本当にそんなものがあるなら知らねばならぬ。

というわけで探しに行ってみたのだが、結論から言うと「壁画」ではなく「石碑」だった。そして私の知ってるやつだった。ちょっちガッカリ。

**********

出所はすぐに見つかった。こちらだ。

人類と感染症との闘い
―「得体の知れないものへの怯え」から「知れて安心」へ―
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1003_03.pdf

このPDFの1ページめ「ポリオの歴史」というところに、「1. 古代エジプトのレリーフと日本の古代人骨」という見出しがある。

古代エジプト第18王朝(BC1403〜1365年)の石碑に、片足が萎縮麻痺し杖を突いた人物が描かれているが、これが症状から見ておそらくポリオだろうと言われている。


とあり、丁寧に図が入っている。また出典元もWikipediaのリンクが記載されている。
おそらくポリオ学会(?)かなんかでこういう資料が閲覧されてて、そこから得た知識なのだろう。

画像


…が。
このPDF見ると、最初の文章ではきちんと「石碑」になっているのに絵のキャプションでは「壁画」に摩り替わってしまっているのだ。ちなみにこれは、壁画から切り取られたものではなく、もともとこういう形状で作られた彩色石版で、形状と内容(供物を捧げてる絵が書かれている)ことからして、おそらく神殿の奉納用。よって、壁画じゃなくてステラ(石版)が正解だ。


いわゆる「ポリオ・ステラ」と呼ばれてるコレの所蔵元は、コペンハーゲンにある Ny Carlsberg Glyptotek Museumで、ステラの所有者はロマという人、職業は門番。(ステラには奉納者の経歴が書かれているので分かる)
http://www.glyptoteket.dk/

んで時代もBC1403〜1365年なら ツタンカーメンより前 だね(笑)
同じ第18王朝ではあるが、ツタン様まだ生まれてない。

「古くからあった」と言いたいがためにエジプトを引き合いに出したはいいものの、「石碑」を「壁画」と間違えた上に、「ツタンカーメンの時代」という余計な一言を付け加えて元は正しかった情報を誤情報に変えてしまった、という例。人の話というものは、きちんとソースを確かめないと、こうして毎回少しずつ尾ひれがついて、最後には原型が分からなくなってしまうのだ。ソースの指差し確認大事。




ちなみに、ポリオ石碑としては、もう一枚、大英博物館所蔵のも有名。
↓こういうやつ。第12王朝なのでロマのステラよりは古い。

画像


ただし、こっちは杖に寄りかかっているけどポリオかどうかはっきりしないという説がある。
これ以外にもミイラからポリオが疑われる変形が見つかっている例もあるので、確かにポリオは大昔からあった病気で、古代エジプト人もかかっていたものだということが出来る。


なお、古代エジプト人のわずらっていた病気については、以下の本がよくまとまっている。
内容上、ミイラやら骨やらの写真が多いのだが、気にならない人は是非。考古学+病理学ってカンジで面白い。


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