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zoom RSS 「最古の手品の図」と紹介されるエジプト壁画の正体を確認してきた。

<<   作成日時 : 2015/04/12 00:10   >>

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「カップ&ボウル」という手品の起源だとか、瀉血の器具だとか、まことしやかに紹介されることもある、この図。見たことがある人も多いんじゃないかと思います。

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しかしこの図はどう見ても手品のシーンには見えない(笑
そして「最近では手品のシーンではなくパン作りの図と言われることもあります。」と書いてあるサイトもあったりする。
ていうか、この図に書かれているヒエログリフは本当にあってるの? 一部だけ切り出されてるけど、周りの壁画はどうなってるの?

そんな疑問を覚えたので、探しに行ってみたぞ。


結論から言うと、この壁画の出所はエジプト中部ベニ・ハッサン(Beni Hasan)の私人墳墓群の中にある15号墓(BH15)でした。第11王朝の墓で、墓の持ち主は州長だったバケトという人物(Baqet III)です。そして、この図が何を意味しているものかははっきりしませんが、何らかの遊びであることは間違いないようです。

x パンづくり
x 手品
o ゲーム

参考
http://en.wikipedia.org/wiki/Baqet_III
(バケト三世の墓は、レスリング図で有名。)

では調査結果を詳細にどうぞ。

***********************


南側の壁の西端の壁画の中にあり、全体図と場所はココ。
図は、P.Newberryの「Beni Hassan」二巻から。
http://oilib.uchicago.edu/books/newberry_beni_hasan_2_1894.pdf

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線画に直されている部分の実際の写真は多分これ。
線画より人物がホッソリしているのは、斜めから写しているからです。

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で、出回っている図の出所は、ウィルキンソンの「The manners and customs of the ancient Egyptians」でした。
これもWeb上でも公開されてます。
https://archive.org/details/mannerscustomsof02wilk

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図の上に書かれているヒエログリフは、決定詞がないですが手と口のマークをあわせた「ar」という音が「上に」になり、英訳だと atop of one another 「お互いの上に(積み上げる)」。これだけだと何をしているのか分かりませんが、壷を積み上げるようなゲームだったんだろうなと推測できます。

ちなみに全体図で、この図の左にあるのは牛飼いの図、右側にあるのはウェイトリフティングとフェンシングの図です。

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牛飼いのシーンは人物も牛も左を向いているので、そこでシーンが途切れていると判断できます。ということは、壷を積み上げている絵はすぐ右にあるフェンシングのシーンと連続しているので、ウェイトリフティングやフェンシングと同じカテゴリに入る何らかの若者的な遊びだったと思われます。

ルールは分かりませんが、「上へ上へ…」みたいな名前の遊びなので、壷を早く高く積み上げたほうが勝ち、とかいうバランス感覚的な遊びだったんでしょうか。ちなみに、この壁画にあるみたいな壷の実物も探してみたんですが、これ積み上げてもあんま面白くないような…いや楽しいのか…? うっかり落として壊したらお母んにめっちゃ叱られそうな気もするんだけども。

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というわけで。

 ・前に続くシーンが若者たちの遊びなので、その一部と考えられる
 ・この位置取りでいきなり手品やパン作りが出てくるわけがないので、そうした可能性は除外できる
 ・書かれている文字の解読から壷を積み上げるゲームだったと判断できる

 ・ただし具体的にどんなゲームだったのかはわからない


以上が結論になります。
まあなんだ、壁画の一部だけ切り出して「xxに見える!」って論じても話が進まないんで、全体図を見ようぜって話ですね。

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