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zoom RSS 自称「真実の追求者」たるアマチュアたちが、熱意を込めて遺跡を破壊する日

<<   作成日時 : 2014/11/16 00:10   >>

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動乱後、治安上の問題から観光客が激減し、観光収入の確保に困っているエジプトさん。
今まで開放していなかったピラミッドや王墓などもお金さえ払えば立ち入れるようにして、客単価上げて乗り切ろうとしているようで、なんと今度はスフィンクスの足元まで入れるようにするとか言い始めました。

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かつて100ポンド(※現地価格では超ボッタクリ!)支払って大ピラミッドに入らせてもらったわたくしでも、これにはドン引きでございます。

あのね、多分、そこ入りたがる人たち オカルト系の人たちばっかり だと思うんです…。




グラハム・ハンコックをはじめとする失われた超古代文明の存在を想定する人々は、ギザの大ピラミッドやスフィンクスは古代エジプト人の作ったものではなく、さらに古くから存在したと主張します。これは近代になって突然生まれた発想ではなく、大昔から姿を変えつつ存在してきた、ある意味、正統派の考古学より伝統のある思想です。

錬金術・黒魔術系とアトランティス系で多少主張が違いますが、集約するとだいたい以下のような感じになります。

 「スフィンクスの足元には神秘の石版や過去の英知が隠されている」
 「スフィンクス内部を調べれば、隠された部屋がある」


主張するだけならまぁいいんですが、「真実は学者たちによって隠されている」と思い込んでいるため、彼らのうちアクティブな"英雄(笑)"たちは、法を犯してでも力づくで真実を探ろうとするのです。



近代にはハワード・ヴァイスというイギリス人が、力づくでスフィンクス内部を調べようと、本体に直接ボーリングを突っ込むという荒業までやっています。ヴァイスが生きていた時代は、ピラミッドにダイナマイトをぶち込んで未発見の部屋を探すというような無茶も行われており、今では「火薬考古学」とか「爆破考古学」とか揶揄されています。

その延長戦上にあるのが、先日流れた「ピラミッド内部から遺物サンプルを持ち出したドイツ人」のニュースです。ニュースになっていないだけで、夜中にコッソリ遺跡に侵入しようとするとか、警備を買収して遺物に近づいて未許可で写真やサンプルを撮る、なんて行為がザラなのが、エジプトという場所です。 

監視のエジプト人が、親指と人差し指をこすりながらソーっと近づいてくると「お金くれたらいいもの見せてやるよウヒヒ」の合図…。



エジプトが今恐れるべきは、金の余ってるこうしたオカルティストたちです。
彼らは真実の探求者を名乗っていますが、結局は ただの遺跡破壊者です。

ピラミッド内部のカルトゥーシュを削り取って調べたとして、彼らの望む「ピラミッドは2万年前から既に存在した」ことは証明できるでしょうか? 出来るとは思えません。ピラミッド内部の石の材質や、鉱物として作られた年代は分かるかもしれませんが、それ以上得るものはないはずです。カルトゥーシュを描いたインクの染料としての成分は分かるかもしれませんが、何百年もの間、何人もの人が入り込んで触りまくって汚染された表面からとった試料を分析して意味があるでしょうか。

通常、学者は、確認したい事項に対して妥当である検証方法を考案し、より遺跡にダメージを与えない方法で検証できるよう検討します。しかし彼らはそんなことは一切していません。真実にたどり着く方法を知らないのです。これは科学の皮を被った自己満足的な破壊行為に他なりません。一番やっちゃダメなことですよ。


ピラミッド内部から遺物サンプルを持ち出した二人のうちの一人、Dominique Görlitzへのインタビュー記事がWeb上に上がっていました。ドイツ語わかんないんで翻訳にかけて読みましたが、まあ酷いです。遺物サンプルを無許可で持ち出したことは事実なのに、「そんな一杯じゃないよ」「ノミの跡はおれたちじゃない」とか言ってて、どこからツッコんでいいか分からない。あのなそれ、「持って帰らないと次きたとき無くなってるかもしれない」って言い張って神殿の壁切り取って持って帰った大昔のコレクター並みの言い訳だから。

http://www.heute.de/prozess-gegen-deutsche-forscher-in-aegypten-interview-mit-dominique-goerlitz-wir-sind-keine-plumpen-gesteinsklopfer-33495050.html

彼らのやってるプロジェクトを見ていると、かなり資金を持っていて、支援者もそこそこいるんじゃないかということが伺えます。しかもピラミッドに入る許可しか与えていなくても、許可は貰ったと言って禁止区域に入るような人たちです。

この人たち、次はスフィンクスのカケラを持ち帰るんじゃないですか? あるいは夜中に足元を掘るとか。それが真実の探求らしいですからね! 日本語で言う「ひさしを貸して母屋を取られる」のエジプト版、「スフィンクスの足元を許可したら頭に上られた」なんてことになりかねません。

繰り返しますが、エジプトが今恐れるべきは、ある意味まっとうで分かりやすい「盗掘者」ではなく、金の余ってるオカルティスト、偽考古学者、善良な観光客のふりをした狂信者だと思うのです。



つまり敵は、すぐそこにいる。
観光客から金をむしりとるつもりでいたら、警備に余計金がかかるようになった…なんてことにならないようになっ!

あとエジプトの警備員の買収されすさ、ほんとどうにかしたほうがいいと思う。バチカンみたいにスイス人を雇えとはいわないが、ヌビア人を雇って古代のメジャイ(警察)部隊を復活させるべきではないのか、とかなんとか。

****

ちなみにDominique Görlitzたちが所属している組織のサイトがこれ

http://abora.mediaonline.org/neue-projekte/cheops-projekt.html


辿っていくと、葦舟で海を渡る実験もしているようで…。
でもそれは、かつて冒険家ヘイエルダールが葦舟ラー号でやろうとしたことの焼き直しです。オリジナリティもクソもねぇ。やるならもうちょっとオリジナリティ出せや。

冒険記として今もそれなりに読まれているコン・ティキ号冒険記やアク・アクと違い、ラー号の話がオカルト扱いなのは、こういうとこで利用されてるからなんですよね…。

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