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zoom RSS 古典幻想小説「Der Golem(ゴーレム)」 グスタフ・マイリンクの描く奇妙な世界。 

<<   作成日時 : 2014/09/28 00:10   >>

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カフカとか好きな人はハマるんじゃないかな。そんな感じの、暗く、しかし仄かな輝きに満ちた、不思議な世界観を持っている。チェコの首都プラハのユダヤ人街を舞台に進む幻想的な物語。知る人ぞ知る「古典」と呼ばれるファンタジー小説のひとつだ。

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前から気になってはいたものの、本屋で見かけたことがなく、あえて取り寄せるほどでもないかとそのままにしていたが、このたび晴れてご縁が生まれ、「何か読むものを」探していたときに気が付いたら手の中にあったので、勢いで読み干してみた。

プラハの街には、かつて行ったことがある。
ゴーレムの棲む場所は、小説の中ではとある建物の中の「出入り口の無い部屋」だが、現実の伝説ではシナゴーグの天井裏だ。

ラビ・レーヴに愛を込めて ―ゴーレム伝説の地を訪ねてみた

訪れたのが初夏で、しかもいいお天気だったせいもあってか、小説の中にあるような陰鬱で不思議な暗がりに囚われた感は影も形もなかったのだが、ゲットーの街並みも現代ではオシャレ。だが、春の近い冷たい雨の降る暗い日や、クリスマスの近づく寒空の下でなら、小説の中の世界を体感できるのかもしれない。

小説のあらすじは、あって無いようなものだ。
カバラの、というよりタロットの知識があると、物語の象徴しているところがある程度わかるという程度。それとて筋道をたてて説明できるものではない。出発点では単なる「愚者」、始まりのアルカナであった主人公が、セフィロトを経て王冠(ケテル)を得て自己実現を成し遂げる、という、神秘主義的な小説では使い古されたパターンに、プラハの情景と、第一次世界大戦さなかの世界の混沌、ゴーレム伝説のイメージを加えた感じになっている。

まさに「考えるな、感じろ」系の小説で、やろうとしていることはユングの「心理学と錬金術」に近い。
マイリンクとほぼ同時代に生きたユングも、この小説の著者と同じくカバラや錬金術、そして仏教など東洋思想にハマっていったことを考えると、そういう"時代"だったのだろうか。

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面白い小説だったが、これが大戦中にベストセラーになったというのは良く判らない。果たして、これを読んだカバラにもトーラーにも東洋思想にも興味のない人たちは、何を思ったのだろう? 細かいところは抜きにして雰囲気だけ楽しんだんだろうか。或いは、随所にちりばめられた 『知ることと思い出すことは、おんなじことなんだから』といった、分かるような分からないような啓示の言葉に感銘を受けていたのだろうか。

なおキーワードとなる地名、フラチーンはプラハ城のこと、ヒルシュ・グラーベンはお城のお堀のことを指す。
プラハ城の中に住むということは、セフィロトでいう「王国」を手に入れることを意味するのは言わずもがな。探求者たる主人公が最後に行きつく場所、この物語の結末として相応しいステージと言えるだろう。

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