現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS ヴィンランド・サガ 〜ヴァイキングが出会ったスクレーリング=ドーセット人とは

<<   作成日時 : 2014/09/18 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

ヴィンランド・サガ」でヴァイキングが出会い、交戦した相手は700年前に絶滅したドーセット人だったという説があるようだ。今まで無意識にアメリカ先住民= インディオ だと思い込んでいたので、これを知ったときちょっとアレっと思った。


発端はこの記事。

DNA分析で北極古代人の研究に進展
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140829005

かつてイヌイットの一派と看做されていた、北極圏に近いアラスカ北東部に暮らしていたドーセット文化の担い手が、どうやら他の地域のイヌイットたちと直接の血の繋がりがない別系統の集団だったらしい、という研究の話だが、末尾に以下のような一文が挿入されている。

その約300年後、おそらくはバイキングが新世界に持ち込んだ致死的な病気が原因でドーセット文化が北極圏から消滅したとき、イヌイットの語り手たちはチューニットの物語にその思い出を託そうとしたのだろう。


さらっと書かれているが、つまりヴァイキングと接触したのが、消滅してしまったドーセット文化の担い手たる極北のイヌイットたちだったという意味だ。


先におさらいしておくと、ヴァイキングのヴィンランド行きについて書かれた「サガ」は二種類。「赤毛のエイリークルのサガ」と、「グリーンランド人のサガ」だ。「幸運のレイヴ」によるヴィンランドの発見は紀元1000年ごろ、「侠気のソルフィン」(ソルフィンヌル・カルルスェヴニ)によるヴィンランド行きは1004年から8年ごろと考えられている。

そのうちの「グリーンランド人のサガ」からアメリカ先住民との接触箇所の最初の部分をを抜き出してみよう。

最初の冬の後に夏がやってきた。かれらはスクレーリングたちをみとめた。森の中からたくさんの連中が群れをなして出て下。カルルセヴニの家畜は近くにいたが、牡牛が猛烈にほえはじめた。するとスクレーリングたちは恐れて、荷物をもって逃げた。荷物というのは灰色の毛皮(リス)、黒テンの毛皮、およびあらゆる種類の皮製品だった。

「サガ選集」 東海大学出版会


サガ選集
東海大学出版会
日本アイスランド学会

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by サガ選集 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


交易のために毛皮をもってくるあたり、言われてみると確かにインディオとは違う気もしてくる…。
ドーセット文化の担い手たちはイヌイットたちと同じくアザラシなど大型の海獣やカリブーをメインで狩っていたようだが、南方に移住すると小型の動物も狩るようになるのだろうか。



というわけで、スクレーリング=ドーセット人説を補完するためにイヌイット関連の本をあさってみたところ、以下の記述が見つかった。

従来のドーセット文化は、ここで存在しなくなったが、姿を消す前に、ドーセット人は、グリーンランドと新大陸に進出してきたヨーロッパ人に遭遇した最古のアメリカ原住民――古い古代スカンジナビアのサガにいうスクレーリング人――となった。

「ツンドラの古代人」ドン・E・デュモン


ツンドラの古代人
学生社
ドン E.デュモン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ツンドラの古代人 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


なるほど、確かにニューファンドランド島付近でヴァイキングと接触したのはドーセット人だったと考えられているようだ。


ドーセット人はかつてはグリーンランド西部にも住んでおり、ヴァイキングが到達した頃にはニューファンドランド島のあたりまで居住範囲を広げていたという。

 *ニューファンドランド島に関する資料こちら
 http://55096962.at.webry.info/200803/article_3.html

だが、ヴァイキングが到達した紀元1000年を過ぎたあたりでドーセット文化は衰えはじめ、やがてアラスカのほかの文化に飲み込まれていってしまう。その原因が果たして本当にヴァイキングの持ち込んだ病原菌だったのかは、今の段階で断定は難しい。ヴァイキング自身がグリーンランドから撤退を余儀なくされたように、起源1000年以降は気候変動の時代でもあった。また今回の発端となった研究によれば、ドーセット文化の担い手たちは元々、かなり閉鎖的で遺伝の多様性が少ない民族だったようでもある。

約700年前に消滅してしまった文化であり、大規模な遺跡が残されているわけでもなく、おまけに居住地の大半が永久凍土で発掘も容易でないとあって、ドーセット人についてわかっていることは少ない。しかし、もしスクレーリング=ドーセット人であるならば、最初にヨーロッパ人と接触した新大陸先住民は彼らということになるし、集団が消滅した原因が推測どおり病原菌なら、アステカやインカに先立って、ヨーロッパからの「侵入者」によって被害をこうむった最初の集団ということにもなる。実に興味深い。



**********

なお、上の方で紹介した「ツンドラの古代人」はかなり古い本なので、中身は今現在のイヌイット研究本と違っているところもある。というかイヌイットの文化はすべて一直線に繋がれていて、ドーセット文化もイヌイット文化の「派生」扱いになっている…。

画像


昔は、すべての文化は一直線に繋がって一直線に発展するもんだと考えられてたから、まぁ仕方ないのかな、とも思う。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ヴィンランド・サガ 〜ヴァイキングが出会ったスクレーリング=ドーセット人とは 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる