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zoom RSS ニュースが教えてくれない続報; "コロンブスの船「サンタ・マリア」発見か?"の裏にあるもの

<<   作成日時 : 2014/07/16 00:10   >>

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およそ2ヶ月ほど前、5月の半ばに、「コロンブスの船、サンタ・マリアがハイチ沖で発見された」というニュースが流れた。

コロンブスの「サンタ・マリア号」発見か、調査チームが発表
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPKBN0DU04U20140514

しかしこの時点では、船はまだサンタ・マリアとは確定していない。
というより、考古学の世界には「絶対そうだ」と言い切れることは少なく、常に確率と可能性の問題であることを知っておく必要がある。

このテのニュースのお決まりとして、「何か発見しました!」というような話題性のある第一報は流れても、その後の調査などの地味な続報は得てして流れないものだ。第一報は飛びつく人が多いので、どうせならその後の「ニュースが教えてくれない」続報を記事にしてみる。



*********

さてニュースの流れた当時、調査したBarry Clifford(バリー・クリフォード)は自信をもって以下のような根拠を挙げていた。

 ・船の全長が記録と一致する
 ・積まれていた大砲がコロンブスの時代のもの
 ・場所が記録にある座礁ポイントに近い

ただ、記録では座礁したサンタ・マリア号はその後、要塞を作るのに転用されたはずで、船として形が残っていることには当初から疑問があった。特に、ハイチ政府側はクリフォードの説をかなり強く否定していていた。問題となったのは、この船が既に調査済みだったこと、500年前と現在では、海岸線が異なるため、クリフォードの主張する「座礁ポイントに近い」という根拠は誤りだと考えられたことだ。

そう、注意深く幾つかのニュースソースを見ていくと分かるが、実はこの船、クリフォードが「発見」したものではなかった。彼は再調査しただけである。だから「コロンブスの船が発見された」というニュースタイトルは、実は誤誘導なのだ。

最初に写真撮影が行われたのは1978年、フロリダ大学の考古学者によるもの。
その後、2003年にも調査が行われており、その際はコロンブスの船であることは否定されていた。クリフォードが根拠として挙げている「大砲がコロンブスの時代のもの」(= 15世紀のもの)というのは、実はクリフォードの調査ではなく2003年の調査時点で判明していた内容になる。

そして2003年の調査のあと、この沈没船は荒らされ、遺物が持ち去られている。

ハイチ政府が「コロンブスの船だ」という発表を強く否定した一つの理由は、おそらく、また盗掘されるのを避けたかったからなのだろう。その後、ハイチ政府はユネスコにこの船の調査を依頼している。

ハイチ沖の「コロンブスの船」、ユネスコが調査へ
http://www.afpbb.com/articles/-/3018765?pid=13948445

なんで自国で調査しないの? と思うかもしれないが、小さな国だと自国に十分な設備や専門家がいないため、外部に委託せざるを得ないのだ。外部の第三者に任せたほうが公正な判断が下されることも多い。


そして、その後のユネスコの調査により、「やっぱコロンブスの船って証拠ないよね…」となり、バリー・クリフォード氏はハイチでの発掘許可を取り消され、追放されてしまったようだ。

Haiti - Heritage : Barry Clifford is no longer allowed to continue its underwater excavations in Haiti

http://www.haitilibre.com/en/news-11546-haiti-heritage-barry-clifford-is-no-longer-allowed-to-continue-its-underwater-excavations-in-haiti.html



この件でのポイントは以下のとおり。


(1)問題の船は既にそこにあることが知られており、新発見ではない。

(2)しかも複数の調査チームによって調査済みとなっており、コロンブスの船の可能性は否定(※科学の世界に"100%"はありえないため、「サンタマリアである可能性は低い」という言い方になる)されていた。

(3)今回、クリフォード氏が挙げた「コロンブスの船」とする根拠が、過去の調査で判明した内容以上のものではなかった。



調査を依頼されたユネスコがあっさり結論に達しているのは、おそらく(2)の時点での調査が十分に行われており、それだけでクリフォード氏の挙げてきたサンタ・マリアとする根拠を排除するのに足りたからだと思う。元々コロンブスに近い時代の船であることは分かっていて、それでもなおサンタ・マリアであることは否定されていたんだから、まあそっから「やっぱりサンタ・マリアでした!!」って主張するにはよっぽどの証拠がないとねーってことだろうか。

クリフォード氏が追放された原因は、トレジャーハンターの売名行為と看做されたからか、センセーショナルな報道で水中遺物に盗掘の危険を招いたことが原因と考えられる。まあ、妥当なところだろう。(言っちゃえば、クリフォード氏に乗っかって大騒ぎした各国メディアも片棒担いだことになるんだけどな…)

ハイチ政府は今後、ユネスコと協力して水中遺物の保存に努めていくようだ。

――というわけで、これが、"コロンプスの船「サンタ・マリア」発見か?"ニュースの顛末、そしておそらく、このニュースにロマンを感じて胸を高鳴らせながら続報を待っていた人たちの求めていたものである。

残念だろうが、「大発見」の続報はだいたいこんなもん。
続報が流れないニュースは多い。知りたければ、人に流されるのを待ってちゃだめだ。自分で探しにゆくのだ。

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