現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS 繋がる世界、砂糖をめぐる世界史の流れを一冊の本で。

<<   作成日時 : 2014/01/19 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

人間とは常にアップデート(またはデグレート)が掛かり続けているハード/ソフト一体型装置なので、内部処理の変化によって、同じ入力情報に対する出力結果も違ってくる。本に書かれた情報は変わらなくても、数年後に読み返してみたりすると違った感想を抱くのはそのためだ。

昔読んで、その時はイマイチ面白くなかった本でも、久しぶりに開いてみたりすると意味が分かって面白かったりする。もちろん、その逆も結構あるのだが。


砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)
岩波書店
川北 稔

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


「砂糖の世界史」は、岩波ジュニアから出ていて文章も平易なので高校生あたりから楽しめる。
が、世界地図が頭のなかにないと、グローバル経済の走りとか言われても「( ´_ゝ`)フーン?」って感じでイマイチ飲み込めない。

イギリスにおける砂糖の消費量が高まったのは、紅茶の流行と連動していると言われる。イギリスの近隣では茶は栽培できないから、茶葉はもっぱらインドあたりからの輸入になるのだが、イギリスとインドがどのくらい離れていたかイメージが付かないと、当時のイギリス(を含むヨーロッパ列強)が、どれだけ世界を股にかけた交易を行っていたか分からない。本の最初に世界地図がついていれば良かった…。

一杯の砂糖入り紅茶を飲むために、茶葉はインドから、砂糖はカリブから、そして陶磁器は中国から、世界を巡ってはるばる運ばれてくる。「世界がひとつに繋がって出来上がる食卓」だ。

高級品だった時代の砂糖を入れたお茶は、上流階級のステータス・シンボルだった。人々は熱狂して砂糖を求め、より効率的な生産のため植民地を作るようになっていく。植民地支配によって元いた先住民がほぼ全滅してしまったことも、労働力としての奴隷交易がアフリカに今も暗い影を落としていることも、今ならわかっている。富める人々は、砂糖欲しさに世界を変えたのだ。


この本の主題は、砂糖にスポットを当てつつ、その背後で連鎖的に動いていった歴史を追うことにある。単独で発生する歴史的事件などまず無い。奴隷交易が始まったキッカケは、大量の労働力を必要とする植民地のプランテーション農業だが、なぜプランテーションが始まったのかをたどると、「本国では砂糖の原料となるサトウキビが栽培できないから」という原因にたどり着く。もともと砂糖はヨーロッパにはないものだった。

では誰がヨーロッパに砂糖を広めたのかというと、イスラム教徒だ。砂糖はコーランとともにアフリカを西へ進み、イベリア半島に上陸してヨーロッパに入ってく。やがてレコンキスタによってイベリア半島からイスラム教徒が追い出されたあとは、今度はキリスト教徒が聖書とともに植民地へ運ぶことになる。

砂糖一つとったところで、こんなふうに歴史はつながっている。現在は過去の集大成であり、過去から続く「流れ」の上に存在する。流れをぶった切って、ある出来事だけを理解しようとしても有意義なものにはならないし、たぶん、ほんとうの意味で理解は出来ないと思う。



改めてこの本を読んでみて、三角交易ってのは当時としては理にかなったことをやってたんだなーと思った。
イギリス本国から銃や綿織物をアフリカにもっていき、アフリカで奴隷を仕入れ、カリブのプランテーションに奴隷を売って砂糖の原料を仕入れてイギリスに帰る、というのは、無駄なく堅実に稼げる旨い商売だ。一発あてにインドまで行くより手堅いしなあ。

その意味で、倫理上宜しくないからか奴隷交易の部分を隠したコーエーの某ネトゲは、やっぱりおかしかった。大航海時代といえば商品としての奴隷は重要なファクターだよなあ…。砂糖にしろタバコにしろ綿花にしろ、奴隷なくして存在しない商品だったので。

まあ、そこはしょうがないにしても、歴史を時間軸の中の点として前後の流れから切り離して扱おうとしたのは、我慢がならない。歴史事件は連鎖的に起こるものであって、単独では全くもって意味を成さない。あれは歴史風ファンタジーですらない茶番劇だ。だから見限ったんですけど。

とりあえずさ、学校で歴史の授業がなんで面白くないのかってさ、時代ぶった斬って年号と出来事だけ覚えてるからだと思うんだよね。「砂糖ほしいけど我が国にはサトウキビつくれる植民地ない…そうだ! 砂糖大根を品種改良してやろう! プロイセンの科学力は世界一ィィィ!」みたいな、周辺の流れとぬるい雑学織り交ぜつつ学べば楽しくなるはずなんだよな。全ての歴史を面白くしてやりたい。面白くできないわけがない。つまらないのはストーリーテラーの腕が悪いだけ。そんなことを思ってる今日このごろ。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

繋がる世界、砂糖をめぐる世界史の流れを一冊の本で。 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる