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zoom RSS 過酷なる出アフリカ ー出稼ぎ労働者たちの人知れぬ死

<<   作成日時 : 2013/12/04 00:10   >>

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ナショジオ12月号の特集「人類の旅路を歩く」。
七年かけて、人類の祖先が辿った道を徒歩でゆくというもの。アフリカから出発し、ユーラシア大陸を横断し、北米、南米へと辿るという壮大な企画の第一歩。これは楽しみだなーと軽い気持ちで読み始めたのだが、その途上には予想もしていなかった悲劇的な事実が明かされていた…。


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特集の最後の方、エチオピアからジブチへ辿り着き、海まであと何キロかの地点にあるアルドゥコバの溶岩原に差し掛かった時、記者が目にしたものは、道端に転がる死体と墓。それは、ソマリアかエチオピアあたりからアデン湾を目指す途中で力尽きた出稼ぎ労働者たちのものだった。

ナショジオで人間の死体がはっきり写されてる写真が出ることはあまり無い。今回は珍しいケースだったと思う。今回の写真にあった出稼ぎ労働者の死体は、灼熱の大地の上で乾ききっていて、ミイラと同じ扱いだったのだと思う。

が、溶岩源に無造作に打ち捨てられたそれが、何千年も昔に生きて尊厳を持って埋葬されたミイラとは異なり、つい最近、家族とも親類とも遠く離れた道端で人知れず力尽きた人なのだという事実は消せない。
彼ら、または彼女たちは、貧しい故郷を離れて、アラビア半島へ出稼ぎに行く途中で息絶えた。
何年か前の特集で、そうやってイエメンに渡った出稼ぎ労働者の話を読んだと記憶しているが、海を渡れた者は幸運だったのだ。海に辿りつけず、あるいは、海を渡る途中で、事故や病気で亡くなる人も多い。

今年になってから流れたニュースで、「アフリカからの難民をのせた船が沈没して、多数の死者が出た」というのがあったが、あれも本当は難民ではないのかもしれない。目指す先がアラビア半島か、ヨーロッパかの違いだけで、溶岩原で力尽きた人々と同じ出稼ぎ労働者や不法移民。

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難民の死亡事故のニュースが流れたとき、どこの国から出てきたのかがニュース記事の中に無くて不思議に思ったりもしたのだが、そもそも国はあまり関係ないのかもしれない。アフリカに住む多種多様な部族の中には身分証を持たず、「自分はxx族だ」というアイデンティティはあっても、「国家」に所属している意識がない人もいる。そうした人々が不慮の事故で亡くなったとしても、はっきりとした出身国が分からないのだろう。

元々は繋がっていた大地に人為的な「国境」が引かれたが、今もってその「国境」が存在感を持たない世界がある。
アフリカの広大な大地では、人の命がもともとちっぽけだったことを思い知らされる。


出稼ぎ労働者たちの、命をかけた「出アフリカ」は今も続いている。しかし、不思議と可哀想という感覚は湧いてこない。危険を承知で自分たちの選んだ道なのだろうから。そして、死者を出しながらも続くその旅路は、ある意味で、かつて人類の祖先が「出アフリカ」する際に辿った道でもある。アフリカを出て南米の果てにたどり着くまでの道で、人類の祖先は、環境に適応できなかったり、不幸にして災害に巻き込まれたりした仲間たちを見捨てながら歩き続けてきた。
「振り返らない」―― それが、歩き続けるために必要な勇気なのだと思う。

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