現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS 遺伝子から見る新大陸への移住

<<   作成日時 : 2013/12/21 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

今は時の彼方に埋もれてしまっているけれど、確実にそれは存在した。
1万数千年か、あるいはそれよりもっと昔、南北アメリカ大陸へと渡るため、ヒトの辿った道のことだ。

数年前、インカ展があったときに、ミイラの遺伝子から先住民の傾向を解析する試みについての公演があった。
運良く紛れ込むことの出来たその講演で聞いた話が気になっていたので、講師の先生の本を手に入れてきた。

日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)
日本放送出版協会
篠田 謙一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


タイトルは「日本人〜」だが、日本人の遺伝子に絞って話をしているわけではない。
というか、日本人のDNAの中にはアフリカを出てからこれまでの様々な系統の遺伝子が混ざっているわけで、その道は当然一本ではない。そして何本かは、海を越えて南米ー世界の果てまで、つながっている。

この本は、日本人の話題で一般読者の興味をひきつつ、遺伝子解析とはどういうものなのかの概念をうまいこと包括的に書いてくれてると思った。わかりやすい。


****

南北アメリカへの人類の移住というと、私がむかし学校で習った話だと、氷河期の終わり、シベリアでマンモス狩ってたヒトたちの一部が、ベーリング海峡をわたって徒歩で渡っていった、ということになっていた。だいたい1万と数千年くらい前の話だったと言われていた。

しかし最近の研究では、1万5線年前まで遡るのは確実と言われ、さらに陸路ではなく「海路」、つまりカヤックのような船で陸伝いに南下していった集団もいたとされる。最近では、三万年前まで遡るかもしれない発見も出てきている。

人類の北米への移住は3万年前?
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131202002


しかも移住回数は一回ではなく、集団移住は「三回」以上というのが、定説となりつつある。

言語学の研究はアメリカ先住民を大きく三つのグループ、すなわち南北アメリカの大部分の先住民を占めるアメリンドと、アメリカ北西部に住むナデネ、さらにエスキモー(イヌイット)・アリュートに分けています。アメリカ先住民の起源についての最近の学説は、基本的にはこの分類から導かれた三回の移住によって成立したという説が支配的です。アメリンドの先祖集団は一万三千五百年前にアメリカ大陸に到達し、その後千年あまりの間に南北アメリカに広がったと考えられています。次に九千年ほど前にナデネの先祖集団が到達し、約四千年前にエスキモー集団がベーリング海峡を渡ってきたと考えているのです。


ただ、これは言語学での研究によるもの。
形質人類学、考古学などの研究結果は必ずしもそれを支持せず、相反する結果も出ていて、定説は崩れたものの各ジャンルの学者間で合意のとれている説の存在しない状態に今はなっている模様。

ミトコンドリアDNAを解析すると、系統が三つどころじゃないうえに、ポリネシアから直接ペルーあたりに人が移住してるようにも見えるんだよね…。や、かつてヘイエルダールが唱えた説の真逆が真かもしれないとか、私的には胸熱なんですが。

画像



もともと、南米のミイラのDNA解析の講演を聞きに行ったのは、北米と南米の先住民はインディオってひとくくりにされるけど内部での遺伝子差がけっこう大きい、という話をうっすら知っていたからなんだけど、北米と南米というよりは、「アメリンド」「ナデネ」という区別で、さらにアメリンドの内部の差が大きいのだということは分かった。

画像


そりゃあナスカとインカとアステカのミイラは遺伝子だいぶ違いますわ。。。と、納得。

ただ、この解析は母系で遺伝するミトコンドリアDNAからだけからの解析結果。父系でしか遺伝しないY遺伝子の解析はまだあんまり進んでいないんだとか。また、インカの遺骨にしても、マチュピチュでハイラム・ビンガムが発見した人骨などは、現在ペルー政府に返還されており、ペルーが解析に同意しないので今んとこ手が出せないらしい。

遺伝子解析のサンプルとるために骨に穴あけないといけないから、なかなか許可が降りないみたいだ。エジプトのツタンカーメンのミイラの遺伝子解析は、あれは当時の考古庁の権力者だったハワス博士の鶴の一声でやってるからなー。

現在は様々な説が飛び交い、混乱期に入っている新大陸への移住シナリオ。
研究が進めば、人類の辿った道筋の歴史は、大きく書き換わることになるかもしれません。


*****

現在の研究では、アフリカを出た人類の集団は、あんまり人数が多くなかったんだと言われている。
せいぜい数百人とか。もともと人の数はあんまり多くなかったんだろうけど、その小集団が世界に広がる現生人類すべての祖先となった。

あえて故郷を捨てて、見知らぬ大地に旅だった、彼らこそ、最初の最も偉大な冒険者だった。


行く道の前には同胞は一人も存在せず、まだ誰も見たことのない未知なる世界が広がっている。完璧なフロンティア。すごいよなあ。まあ、本人たちはそんなこと考えてもいなかったんだろうけど(笑)

自分の中にその遠いご先祖様の遺伝子が確実に継がれてるわーと思うのは、旅行とか行った時かな…
見知らぬ土地に行くの楽しよね。
氷河期が終わりかけて暖かくなってきたら、仲間誘っていつも狩りしてる草原の果て見に行こうぜとか言って、そのまま帰ってこない奴がいそう。ていうか、そういう奴らの子孫が自分なんだと思うと、ご先祖様にシンパシー。族長に言いつけられた狩りブッチして逃亡した先祖マジ尊敬するっス。(違います)

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

遺伝子から見る新大陸への移住 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる