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zoom RSS あまりにもお粗末だった歴史ミステリー「エジンバラの古い柩」

<<   作成日時 : 2013/11/15 00:10   >>

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ええー、こりゃないよ…。と、ラスト1/3くらいはもうガッカリしながらページをめくっていた。

駄作とまではいかないが、ギリギリ佳作といったところ。これでイギリスで最も愛されている作家の一人なんて言ったら、イギリスは大した作家がいないみたいに思えてしまう。エリス・ピーターズを! かのエリス女史を産んだイギリスの歴史ミステリー文学界が、こんなに貧弱なわけがない!

エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)
東京創元社
アランナ・ナイト

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この本は、シリーズものの二作目。一作目の「修道院の第二の殺人」もだいぶガッカリな感じの内容だったが、二作目はさらに酷い丸投げっぷりでガッカリどころじゃない、物語としてこれはちょっとどうなのっていう内容。

一作目でくどいくらい語られていた(それはくどすぎるくらいだった)主人公の死んだ父親が主題に登ってくるのはいいとして、幼い二人の娘たちは何のために出てきたのか? 話の腰を折るためだけかと思うくらい、うざったい。うざったいといえば、何の脈絡もなく主人公のファロ警部補に惚れてつきまとっていたあの若い娘は一体なんなんだ。つーか主人公、亡くなった妻を愛していたとか散々(これもくどすぎるくらい)言ってるわりに、女に籠絡されすぎじゃないのか? 周りも周りで、さっさと再婚させたがっているみたいで、ちょっと頭おかしい。

主人公からしてこんなんで、息子も息子で…。
なんつーか、みんな人間味が薄いというか軽薄というか、いちいち行動の意味がわからないよ。

あと主人公一家は死にかかりすぎじゃないのか? 一作目はチフスと寝こむほどの歯痛と強盗に遭っての暴行、二作目は落石による暗殺未遂と誘拐と、ほかいろいろ。(その誘拐の伏線がナニにもつながってこないとか、完全に終わってる!)
推理小説の常として、推理役の主人公はひどい目にあいまくりつつも、自宅に帰ったらほんわかした日常が広がってて、奥さんや娘が鋭い推理で煮詰まってる主人公を助けてくれたりするもんなのに。自宅に帰っても主人公は泣き言しか言わんし家庭がギクシャクしとるし、もう何なんだ。いっそ警察署に泊まれよと。つーか警察署にほとんど行ってないけどな主人公…。

幕間になっても全く気が収まらない、というか主人公一家全員巻き込まれで、このままシリーズが続いたとしてもバッドエンドしか見えん(笑)


と、推理モノとしての登場人物のチョイスがまずしっくりこなくて、さらに取り上げてるテーマもテーマで。
舞台がヴィクトリア朝時代のエディンバラ、という雰囲気は、やっぱり二作目もほとんど感じられず、むしろ現代のほうがいいんじゃないのかと言いたくなる。グラッドストーン首相出したかっただけちゃうんかと…。この話の舞台は、別にヴィクトリア朝じゃなくてもいい。ついでに言うと、別にメアリー女王の家系に絡む謎じゃなくてもいい。単に「悲劇の女王メアリー」のネームバリュー使いたかっただけにしか見えない。

トリックなんてものはなく、歴史ミステリーのかけらもない。
柩が見つかった瞬間から、「あーあーあー、そういうのがやりたいんだ…」と、読み手にはすっかり仕掛けが分かってしまう。そして秘密を握った城づとめの若い兵士が姿を消した時点で、ああ消されたんだなー主人公も狙われるんだな―、と、オチまで読めてしまう。そして犯人はどうせ国家権力な人でしょーと思ったら案の定すぎて、そんなわけで後半1/3はぐんにょりしながら読んでた。それでも、せめて、主人公の娘か、ルシールお嬢さんくらいは活躍すると思ったんだよ。思ったんだよ… まさかのルシール何の役にも立たず! むしろ足引っ張っただけで退場…。息子も意味なかった…。

そして迎える投げっぱなしエンディング。絶望しかない。
ああ、この同じテーマでも他の作家なら、どんなに魂の救済を与えるエンディングを書いてくれたことか。このシリーズはここで終了、もう読まない。



にしても酷いのは、柩の中身が誰なのか、に至る推理をするときのファロ警部補と息子のヴィンスの会話の中身。どこの週刊誌の記者かと思いたくなるほど、まったくもってひどい。「リッツオは年寄り臭いから女王の好みにはあわなかっただろう。彼女は好みにうるさかった」とか、「妊娠六ヶ月でリッツォ殺害を見せつけられて流産しなかったのは興味深い」とか「誰が考えてもまともな子供が生まれてくるとは思えない」…さらに「ジェームズはメアリ女王に似ていない」とか、「出生の秘密を知っていたから母親に愛情を示さなかったのではないか」とか… 推測に推測を重ねて他人の家庭をとやかく言う、気持ちが悪くなってくるような場面だ。

しかも歴史書を紐解きながら証拠を挙げていくのではなく、単に会話だけ。
これは推理とは言わない。ただの下卑たうわさ話。これでは歴史小説読みにもミステリー読みにも支持されない。

伏線が全然生きてないとかトリックが稚拙とかはおいといても、せめて主人公と相棒の息子が魅力の感じられるキャラクターだったらよかったのに、そのへんのおばちゃんレベルの推理力だったとか・・・(´・ω・`)

お口直しに、久しぶりに修道士カドフェルシリーズでも読んでくるとしますよ…。

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