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zoom RSS 極限の世界に生きる民「カナダ・エスキモー」―アラスカ先住民の世界

<<   作成日時 : 2013/10/10 00:10   >>

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かなり古い本。初版発行は昭和47年、私が生まれるもっと前。
これは… どういえばいいのか。アラスカのエスキモー社会にしばらくホームステイした新聞記者による見聞録、とでも言うべきか。

本の出た時代が何十年か前なので、今はもう、アラスカの先住民の世界もだいぶ変わってしまっているようだが、当時の貴重なエスキモーたちの暮らしぶりが記録されている。


カナダ・エスキモー (集団読書テキスト (B49))
全国学校図書館協議会
本多 勝一

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エスキモーという言葉は「生肉を食うもの」という意味の、ちょっとバカにした言葉だという。
しかしエスキモーたちは細かいことはイチイチ気にしない。自分で自分たちをエスキモーと呼ぶ。そして、ほんとに生肉を食う。

雪の上を移動するのは犬ぞり。移動中はソリの後ろに丸太のように括りつけたセイウチの胴体から肉を削りとってはパクパク食っている。果物や野菜などあるわけもない、永久凍土の上に暮らす彼らにとって、生肉食はビタミンを補給する唯一にして最高の手段だ。燃料のない極寒の世界では、煮ることすらめったになく、焼くことなど知らない。

ひたすら雪原の続く世界――夏には白夜になる世界、氷点下が当たり前で家の外では用を足すこともできない厳しい自然の中、彼らはそれでも、ずっと生き抜いてきた。

気候変動によって寒波が押し寄せたとき、グリーンランドに移住したヴァイキングは全滅したが、エスキモーたちは生き延びた。この本を読んでいると、その差がどこにあったのかがよくわかった。単に「魚を食ったか」という話ではない。体質的に寒さに強かったというのでもない。中途半端に「文明化」されていては生き残れない。生肉を食うこと。獣を余すところなく利用できること。雪原を自在に行き来する技術。

不潔な住宅事情、食の文化のなさなど、ともすれば未開人と見てしまいがちだが、極限の環境に特化して「生き延びる」ための技術を磨いた結果なのだろう。

この本に描かれるエスキモーの世界には、ロマンなどひとかけらもない。生々しいばかりの人間社会と、生臭いニオイまでも漂ってくるような世界だ。

面白い。実に面白い本なのだが、何といえばいいのかわからない。
描き出される世界が、あまりにも自分たちの知っている世界と違うせいなのか。
理解はできるが、ここでは決して暮らせないだろうということ。そしてまた、西洋文化の急速な流入によって、この本に描かれた世界は既にこの地上から消え去っているか、ごく限られた場所にしか残されていないだろうということ。

たいていの旅行記は、読み終わったあとその場所に行って自分で見てみたくなるのだが、この本はそんな気持ちにはならなかった。多分、自分は、ここには行けないし、行きたいとも思わない。ただ漠然と、世界の広さを思った。

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