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zoom RSS 時代小説風ラノベ?「天地明察」

<<   作成日時 : 2013/09/10 00:10   >>

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江戸半ばを舞台に、日本独自の暦を作る「改暦」の裏舞台にまつわる物語を小説化した、冲方 丁 の作品。

天地明察(上) (角川文庫)
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2012-05-18
冲方 丁

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天地明察(下) (角川文庫)
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映画のほうが面白かったのでなんとなーく読んでみた。するする読める読みやすい作品ではあった、…が

 いまいち狙ってる客層がよくわからない。

史実を元にした小説としては、なんか薄っぺらい。というのも、よく知ってる人物は何人か出てくるわりに、主人公に対する絡みが少ないからだと思う。主人公の義兄が結局どういうキャラの人だったのか全然イメージがつかないまま、脇役中の脇役として終わってしまった。
上下巻あって主人公のほぼ一生が扱われているのに、人間性にイメージのつく人物が5人ほどしかいない。作中でなんども言及される「関」という天才肌の数術家ですら、初登場時にキレてたの以外目立ったシーンはなく(笑)、単にキレキャラのまま、気がついたら死んでたっていう…。
もったいない。

それから、歴史小説にしてはいまひとつ歴史の雰囲気がない。言動が軽い。

 なんとなく 時代劇風のラノベ という言葉が頭をよぎった。そんなカンジの小説である。

くわしい人に言わせると専門的な表現には間違いだらけらしいが、私は詳しくはないので気にならない。
問題に対して「正解」ではなく「明察」と返す所、問題が間違えていると「誤問」ではなく「無題」になるところなど、言葉の使い方が面白いなあと思ったものの、その雰囲気をいまひとつ活かせないまま、あらすじをなぞることに終始して終わってしまった感じだ。
小説よりは映画のほうが、まだ出来がいいのかもしれない。少なくとも、人物の「顔」が見える、という意味では。天球儀などのアイテムも、文章だけだとどういうものなのかイマイチ分からないので、映像化してあったほうが分かりやすいかな。

恋愛要素にもかなりの難あり。
ヒロインにあたる「えん」との出会いから思いをかけるまでの成り行きがいまひとつ薄く、しかも主人公・ヒロインとも別々に結婚し、都合よく連れ合いに先立たれて再婚という少女漫画でもあんまり無さそうな流れ…。

見合い結婚の嫁とはラブラブで、「愛妻家」で通っていたのに、妻が死んだら初恋の人に求婚に行くとかいうのも意味がわかりません…。たとえ史実がそうなってたにせよ、書き方ってものがあるのでは。


と、小説としてはいろいろ物足りない作品ではあったのだが…。

歴史の教科書を読むよりは、わかりやすかったと思う。
日本独自の暦を作るにあたっての流れ、尽力した人々のことなど、なるほどカンタンではなかったのだなあと。

中国から輸入した暦には誤りがあり、ズレている(ズレてきている)ことは分かっている。
しかしエライ人たちは、伝統を変えたくない。暦は「神事」にまつわるものでもあり、幕府が勝手に変えると天皇の顔に泥を塗ることにもなりかねない。京都のエライ人たちも反発する。
そこで、実際に暦を考案するのは武家だけれど、暦を選んで勅令を発するのは帝、という形式が考えられる。
このあたりの政治的な駆け引き、体裁の話なんかは面白いなぁと思った。実際に暦がズレてるのに、それが「理解できない」から改暦が進まない。
でも、エライ人に理解させないと予算が降りないなんてのは今の時代の研究にもよくある話で。
才能のあった関ではなく、主人公の春海が改暦の立役者になることが出来たというのは、こまめに交渉事の出来たことや、家柄、人柄が関係していたんだろうな。
まあ私がエライ人でも、初対面の人にいきなりキレて本ぶつけてくる関さんにはちょっと任せられません(笑


主人公は、誰かに命じられたからやったのではなく、いろんな人たちの思いを受け継いで「任された」から改暦に命をかけたんだ、というのは、良かったかな。「任せます」「任されました」のやりとりは好き。

改暦に何年かかるかわからんので、知識とかより「若い」というのも任せる条件なのだ、とか、上司の人は、ほんとよく分かってる。たよりなさげに見える春海に何故任せたのか、という流れが自然になっている。
当時の平均寿命だと60年切るくらいだろうか。実際に、途中でぽろぽろ人が死んでいくし…。ただ難を言えば、その死んでいく同志たちのキャラづけが非常に薄い。もうちょっと各キャラの掘り下げが出来ていれば、色々と思う所もあったんだろうになあ、と思うと残念な気分になる。

つーかぶっちゃけ、本因坊の若いのとか要らなかったんですよ(笑
目立ってる脇役が碁のライバルだけってどういうことなの…。そこじゃない、そこじゃないだろ強調すべきは…。

脇役たちの魅力を表現できさえすれば、あと一弾も二弾も面白い物語になれていただろうに。
誰かに書き直してほしいなあ、と思う題材である。

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