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zoom RSS 先生、うなぎが食べたいです…。「食べるギリシア人 ―古典文学グルメ紀行」

<<   作成日時 : 2013/06/18 00:10   >>

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腹が空いてるときには読んではいけない。そんな本である。

食べるギリシア人――古典文学グルメ紀行 (岩波新書)
岩波書店
丹下 和彦

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内容はタイトルが表すとおり。ホメロスなどを引用しつつ、実際に登場人物たちが飲み食いするシーンを引き出して、古代ギリシア人がどのようなものを食べ、どんな調理方法を用いていたかを考察する。

どんな文化でも、食べ物は大事。
食べないと人間は死んでしまう。当たり前である。場合によっては神様や精霊のようなものでもモノを食う。何を食べるか、どのように食べるか、食卓を知ることは、その文化を理解するうえで最も手近で効果的な方法の一つといえる。

ホメロスは英雄たちに肉を焼かせた。
煮る料理方法もあったらしいが、とにかく英雄たちは肉を焼く。実際のギリシャ人は魚も好きだったはずなのに、魚は出てこない。「英雄たるものは肉を食え」というホメロスの美的感覚なのではないかと著者は指摘しているが、「オトコなら魚より肉だろっ」という現代日本でもまかにとおる感覚が、古代ギリシャにもあったのだとすると面白い。

しかし美食家は、魚も食う。魚の種類も様々だが、中でも「コパイス湖(ギリシャ中部、ボイオーティアにある)産のウナギ」というのが非常に美味だったらしい。蒲焼で、こんがりと焼いて食うこともあったらしい。もちろんソースは日本の醤油ベースのものとは違うから、味も変わるだろうが、しかし、読んでいるだけで唾をゴクリとしたくなる。蒲焼は日本の場合ほどメジャーではなく、甜菜とつけあわせで食卓に登場するシーンが多くあるようだが、具体的にどんな調理方法だったのかは残されていない。

そのあと登場したのが炙った鮪の
ぽってりとした下腹、そして沼地育ちの
ボイオティアの鰻、甜菜をまとった女神様もお出ましになった。

エウブロス断片 36[37] 『イオン』


旨そうである。非常に旨そうである。むだに詩的で腹が減る。食うことを楽しんでいたんだなぁと思う。

そう、「食べることは楽しい」のであり、生きることを意味する。
だからギリシャ悲劇の作家たちは、登場人物にごはんを食べさせなかった。実際の生活がどうあれ、ホメロス同様、物語の中には作り手たちの美的感覚や、「かくあるべし」という意志が働いている。それもまた、面白いところである。


ちなみにこの本、最終的におトイレの話にも及ぶ。そりゃあね、モノ食べるからには出さないとね。
手洗いで何を使って尻を拭くかなどの話は、テルマエ・ロマエを思い出してちょっとクスリとしてみたり。
ちなみに主題はギリシャだが、日本の古典文学からの引用も結構ある。古代ギリシャ人とともに、古代の(たとえば平安時代の)日本の人々が、どんな暮らしをしていたかに思いを馳せてみるのも楽しいだろう。


…さて うなぎ買ってくるかな… ←

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