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zoom RSS スケルトン探偵再び。アーロン・エルキンズ「騙す骨」

<<   作成日時 : 2013/05/10 00:10   >>

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出張帰りに何も読む本がなく、新幹線の時間までーと駅の本屋にいったら、スケルトン探偵シリーズの読んでないのが何冊か出てたよ。
訳者が変わってから(?)、いまいちシックリしなくなっているこのシリーズ。ただ、主人公が人類学者で、骨の鑑定からミステリーが始まる、という展開は他のミステリー小説には無い特徴は健在。また、特性上、事件は世界各地の色んな場所で起きるわけで、旅行ガイド的な独特の雰囲気も保たれている。

アメリカでドラマ化されたやつは盛大にスベッたらしいけど、まあ、な…
主人公が「骨をこよなく愛する」人類学教授、まではいいとして、元アマチュアボクサーで腕っ節も立つ、っていう設定は正直要らんかったよな。大腿骨を振りかざして襲ってくる犯人と揉みあう展開があるんじゃ、そりゃアメリカさんのドラマだとハードボイルドになっちゃうわな。

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さて今回読んだ「騙す骨」の舞台は、メキシコのテオティトラン。主人公がヤグール遺跡を訪れるシーンもあり、その付近と思いねえ。

州都オアハカから適度な距離のあるテオティトランの小さな村を舞台に、事件は起きる。
数十年、殺人らしい殺人もなかったような平和な村で、誰ともわからぬミイラが発見される。高いところから落ちて死んだように思われたそのミイラだったが、妻の付き添いで村を訪れた主人公が鑑定してみると、なんと殺人事件の被害者だったという…。

骨に残る些細な証拠から死の原因や生前の習慣を割り出すロジックがこのシリーズの醍醐味。
しかも初期のシリーズから時間が経ったこともあり、今回はなんと主人公がGoogle(!)を使って調べ物をするシーンまである。ミイラ化した死体と、数十年前に洞窟から発見された白骨死体、さらに誤ってマヤ族のものとされていた骨に隠されていた真実とは…。

ま、シャーロック・ホームズシリーズと同じで、いかにも明瞭に謎解きをしているように見えるのは小説上だからであって、実際はそうそうレアな事象や、推理が必要な変わった死因なんて無い。ファンタジーだよなあと思いつつ、この骨にまつわる薀蓄と謎解きの部分が面白くて、シリーズを通して読んでいる。


もちろんミステリなので、毎回、殺人事件が起きるわけだがしかし、「殺されたて」の死体が毎回出てくるわけではない。なにしろ主人公はスケルトン探偵。骨がなくては始まらない。シリーズの中で何度も「死体は時間が経っているほうがいい、そう、出来れば百年くらい」なんて冗談まじりに言ってるくらい。骨も筋も消えた茶色い骨が美しいんだそうだ。ま、そのへんの感覚は土器の欠片を見てwktkしている私なんかの感覚とたぶん遠からざるものなんだろうが…。

さらにシリーズを通して、毎回旅行先の情景描写が細かく、どさくさに紛れて遺跡の観光案内なんかもしてくれるのが面白い。時には学会に出席するため、時には主人公の妻の出張の付き合いで、世界のあちこちへ、主人公と一緒に旅行している気分になれるのだ。

どの巻もそうだけど、食べ物の紹介は熱が入ってる!
今回はメキシコということで美味しいタコスと屋台ハンバーガー、ケサディーヤにトルティーヤ、トゥロンなる食べ物…。
焼きたてのトゥロンはとても美味しいらしい。ぐぐってみたら甘そうだけど美味そうな絵が。なんという誘惑! ミイラの死因を調べていたはずなのにお腹がすいてきたぞ!(笑) 

シリーズ中に何回も出てきている「夜、おなかを空かせて知らない町にたどり着くのは最悪だ」は、きっと作者の心からの忠告。たぶん。確かにそのとおりなんだ。どっか旅行に行って国際便で夜に着いたりして空港の食べ物屋さんが全部閉まってた時ほど最悪な気分になることはない…。(さらに雨が降ってたりすると、最悪に輪をかけて最悪な気分に。)




ちなみに、シリーズにはエジプトが舞台となる「死者の心臓」もある。
実際にエジプトに持っていったりもしたのだが、ついぞフウルは食せぬままである。いや、厳密にいうと何故かヴェネツィアで食ったんだけどね…。

死者の心臓 (ハヤカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)
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ミステリ小説なのに、何故か読んだあとに食べ物と遺跡の薀蓄ばかりが記憶に残る。毎回人死が出ているにもかかわらず、二重の意味で後味がよいという、不思議なシリーズなのである。

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