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zoom RSS 彩文詞集「シンデレラは強すぎた」

<<   作成日時 : 2013/01/25 00:10   >>

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ある日、父が女を連れてきて、

これがお前の新しいお母さんだよ、といった

娘は聞いた

じゃあ古いのはどこへいったの?

月の裏側へ旅行に出かけたのさ。もう帰ってこない。

月の裏側へは、いくらでいける?

お金なんて要らないよ

そんな、うそでしょう。じゃあどうしてお父さんは60ポンドも渡してたの?

女の側で、父はしぶい顔をしていた。



シンデレラは強すぎた

母がいくらの手切れ金で去っていったのかなんて、

興味はないくらい。



ある日、継母があらわれて

お前の部屋はアタシがいただくよ、よく日が当たるから、と言った。

すると娘はこう聞いた

なんで日があたるのがいいの?

明るい部屋のほうが見栄えがしていごこちがいいでしょう。

ふうん、口の周りが真っ赤でも、血を吸ってるわけじゃなかったのね。

夜が好きな、化粧の濃い女はむっとしたまま口もきかなかった。



シンデレラは強すぎた

父の新しい女が血以外の何を吸っていても、

自分には関係ないことだと思っていた。



ある日、父がいなくなって、

女は知らない人々を家に連れ込んだ。

これは前の旦那との間に出来た子供

あんたの兄さん姉さんにあたるのよ。

すると娘は不思議そうな顔をした

じゃあ、次に旦那をつくるときは、あたしは誰のお姉さんになるの?

あんたは連れていかないわ

だってあなたは、あたしの母さんになったんでしょう

そうよ、だけど自分で産んだわけじゃない

じゃあ、母さんじゃないじゃない。



シンデレラは強すぎた

誰も彼女の舌には勝てなかった

ただひとつ勝てたのは、

彼女にはまだ、自分の家もお金もなかったこと



女は怒って娘を家から追い出した

お金を上げるから黙っておいで

あんたは二度とここへ帰っちゃいけないよ

そこでシンデレラは考えた

自分がいまいちばん欲しいもの

古い母さんも、日の当たる部屋も、兄弟も、

べつに欲しいとは思わなかった

それよりあたしは、お人形と住む部屋がほしいの

そこが暗い地下室やほこりっぽい屋根裏部屋でもかまわない



シンデレラは強すぎた

継母がどんなにぶっても、決して言うことをきかなかった

父と女が、まいばん下手なダンスを踊るのを、

屋根の上の三日月と一緒に笑っていた。



シンデレラはひとりでかぼちゃの馬車をつくり、

草原で馬をつかまえてきて、どこかへ向かって旅に出た

ダンスパーティーなんかつまらないわ

きらびやかなお城も、ごちそうもいらない

あたしは魔法使いになりに行くの

60ポンドもなくたって、月の裏側へは行けるわよ



シンデレラは強すぎた

だから、誰もその子をシンデレラとは呼ばなかった。

だから、誰もこの物語をシンデレラだとは思わない。

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