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zoom RSS 「死者の書」148章 七頭の雌牛と一頭の牡牛、天を意味する四本の舵

<<   作成日時 : 2012/06/06 00:10   >>

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死者の書「第148章」、タイトルは、「死者に対して下界の食事を給輿することの章」。
わかりやすく言い直すと、「下界(冥界)で死者に食物を与えることの章」。古代エジプトの思想では、死者は死後も飲み食いをすると考えられていたから、食事の供給は重要だった。(とはいえ、日本人も死者の墓前に食べ物を備えるわけで、そのあたりの感覚に大した違いはない。)

面白いのは、食べ物を与えてくれる相手が    であるということ。

古代の文書において、呪文の意味を一言一句まで理解することはとても難しい。以前のエントリにも書いたように、「正しい意味は永遠に分からないかもしれない」

それを踏まえた上で、この章について考えてみる。

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この呪文の内容を要約する。

「汝、己の太陽面より輝く者、地平線より出現する生ける霊魂よ。我は汝の名を知る。汝と、七頭の雌牛の名を知る。汝ら、死者に食物を与える者らよ、我にパンと麦酒と光を与えたまえ。」

細かいところをだいぶ端折ってサックリわかりやすくしてしまうと、こんな感じだ。
呪文の中には「七頭の雌牛」という言葉があるのに、絵の中には八頭の牛がいる。実は七頭は雌牛だが、最後の一頭は雌牛たちを統べる牡牛なのだ。絵で乳があるか無いかや、ツノの形でも判別がつくが、ヒエログリフを見ての判別も出来る。

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また、それぞれの牛のそばに書かれたヒエログリフの中に、吹流しの形をした「ネチェル」=神 の文字が入っていることからして、これらの牛たちは冥界の「神」なのだということが分かる。

前のエントリに書いたように、「死者の書」は、太陽神ラーへの信仰と、冥界神オシリスへの信仰が融合した内容となっている。この呪文には「地平線より出現する生ける霊魂」という言葉が入っていることからして太陽神ラーへの信仰を思わせる。ちなみに雄牛の名前は、「赤色の者の城の住む上位の者」という意味であるようだ。

これを知った上で、八頭の牛の下に書かれた四本の舵に注目する。
舵は東西南北を表しており、それぞれに対し「汝 美しき力、北天の舵よ」とか、「二つの大地(エジプトのこと)の案内者たる美しき西天の舵よ」とか、「輝けるものにして、神々の鎮座せし神殿に住まうもの、美しき東天の舵よ」といった言葉が書かれている。南については「赤色の者たちの神殿に住まうもの、美しき南天の舵よ」となっている。

つまり八頭の牛の中で唯一の雄牛は、南天を統べる王ということになる。

かつ、この牡牛がおそらく太陽の化身なのだなということも推定できる。
呪文の冒頭で死者が「汝、己の太陽面より輝く者、地平線より出現する生ける霊魂よ」と呼びかけている相手は、太陽の魂でもあるこの牛なのだろう。だから死者は、食べ物と「光」を「彼」に要求している。これで壁画と呪文の内容はある程度、理解できた。


しかし分からないのは、 天は四方位に分けられているはずなのに、どうして牛が八頭必要だったのか ということだ。
四本の舵とそれぞれ対応する一頭の牡牛と三頭の雌牛。では、残りの四頭は一体なんだ。

実は、これがよくわからん(笑)
考えてみたんだけどサッパリわからん。それぞれの牛の名前に何かヒントがあるかとも思ったけど、「もしかしたら北東とか中間の方位なんかな…?」くらいしか思いつかんかった。

エジプト神話で、八位一体の神というのは決して珍しくない。「八匹の猿」「四匹の蛙と四匹の蛇」などのユニットも存在する。が、八の組み合わせの場合、すべて同性もしくは半数ずつ男女に別れる場合が多く、八のうち一だけが性別が性別が異なるというのは、他にちょっと思いつかない。

ヒントになりそうなのは、この呪文の挿絵として描かれる絵の「牛」の模様はデタラメではなく、八頭それぞれに「姿が決まっている」ということだ。

148章を書いた他のパピルスを見ると、牡牛は必ず「黒」で、一番さいごに描かれる。
他の牛たちも、名前と模様と色が一致している。

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このへんがヒントになりそうな気がするんだよなー…。

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